[No.361-2]続・成長
No.361-2
「いつもは制服を見慣れていたから」
「まず、っていうくらいだから、他にもなにかあるのね?」
「まぁな、そっちの影響が大きかったと思うよ」
誰だか分からなかった原因は2つある。
ひとつは、私服だったこと。
もうひとつは・・・。
「化粧してたんだよ、薄くだけど」
「すれ違っただけの割には、よく見てるじゃない?」
(そりゃ、好みのタイプだからな!)
・・・なんてことは、口が裂けても言えない。
「すれ違ったとは言っても一瞬じゃないだろ?」
やや遠くから、だんだんと近付いてくる。
その段階で、見覚えのある顔だとは気付いていた。
「だからこそ、違和感があったんだよ」
見慣れた顔なのに、なぜがピンと来ない。
・・・で、すれ違った後に気付くことになった。
「でもな、話の中心はそこじゃないんだ」
そもそもなぜ化粧をしていたのか?もしかしたら・・・。
「春休み限定かもしれないし・・・」
「卒業したのかもしれない、ってことね?」
これもまた、ひとつの成長と感じた。
それを制服ではなく、今回は化粧で感じることになった。
「でも、分かってないなぁ~」
ちょっと小ばかにしたような目つきで僕を見る。
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