[No.360-2]ふたつの月
No.360-2
「まっ、その後はSF映画らしく・・・」
その後はエイリアンだの戦闘だの、王道の展開が続いた。
「ところで、何でこんな話してるんだっけ?」
「あれ?なんでだっけ・・・」
何かを思い出そうとする行動が、自然に目線を上に向かせた。
「あー!月が妖しい!」
私の声とほぼ同時に彼も反応した。
妖しい月の話が、すぐにSF映画に変わってしまった。
「映画の話をするから、話がズレちゃったじゃない!」
「ズレた?・・・月の話にはかわりないだろ?」
「そうじゃなくて」
確かに話は繋がってなくもない。
ただ、私が言いたかったのは、そこじゃない。
「じゃあ、なんだよ」
「・・・スルーしたでしょ?」
「スルー?」
映画の話しに変わる直前の私のセリフを、彼は拾わなかった。
最大限のアピールを、超さりげなくしたはずなのに・・・。
「・・・今夜がどうかしたとか、しないとか、だっけ?」
「まぁ、そんな感じ」
この際、細かいことは言ってられない。
「で、それがどうしたわけ?」
「もぉ・・・だから、こんな夜は何かが起こるの!」
彼のくちびる目がけて飛び込んだ。
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