[No.359-1]好きだった
No.359-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(男性)
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「好きだったよ」
また、このセリフを聞いた。
これでもう、何回目になるのだろうか・・・。
「今言わずに、もっと早く言ってよ」
結婚披露宴の二次会に来ている。
披露宴には新郎側の関係者として出席した。
「それなりにアプローチはしてたんだよ」
「全然分かんないし!」
まったく、最近の草食系男子と来たら・・・。
まるでアプローチという言葉の意味を分かっていない。
(もっと、ガツガツ来てくれなきゃ!)
「そうか?それなりに行動してたけど」
「・・・それって遠回しに、私が“鈍感”って、言いたいの?」
反論した割には、思い当たる節がある。
もちろん、彼の行動ではなく、“鈍感”についてだ。
「・・・まぁ、別にいいけど」
確かに鈍感な所がある。
何がどう・・・具体的な何かがあるわけじゃない。
ただ、いつも結果的にそうなっている。
“好きだった”と過去形になるわけだから。
「何だよ、急にしおらしくなって」
「いつも過去形なんだよね、私って・・・」
カミングアウトされるのは、いつもこんなシチュエーションだ。
お酒と幸せの力が男性をそうさせるのだろうか。
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