« [No.358-2]桜 | トップページ | [No.359-2]好きだった »

[No.359-1]好きだった

No.359-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(男性)
-----------------------------
「好きだったよ」

また、このセリフを聞いた。
これでもう、何回目になるのだろうか・・・。

「今言わずに、もっと早く言ってよ」

結婚披露宴の二次会に来ている。
披露宴には新郎側の関係者として出席した。

「それなりにアプローチはしてたんだよ」
「全然分かんないし!」

まったく、最近の草食系男子と来たら・・・。
まるでアプローチという言葉の意味を分かっていない。

(もっと、ガツガツ来てくれなきゃ!)

「そうか?それなりに行動してたけど」
「・・・それって遠回しに、私が“鈍感”って、言いたいの?」

反論した割には、思い当たる節がある。
もちろん、彼の行動ではなく、“鈍感”についてだ。

「・・・まぁ、別にいいけど」

確かに鈍感な所がある。
何がどう・・・具体的な何かがあるわけじゃない。
ただ、いつも結果的にそうなっている。

“好きだった”と過去形になるわけだから。

「何だよ、急にしおらしくなって」
「いつも過去形なんだよね、私って・・・」

カミングアウトされるのは、いつもこんなシチュエーションだ。
お酒と幸せの力が男性をそうさせるのだろうか。

(No.359-2へ続く)

| |

« [No.358-2]桜 | トップページ | [No.359-2]好きだった »

(015)小説No.351~375」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.359-1]好きだった:

« [No.358-2]桜 | トップページ | [No.359-2]好きだった »