[No.356-2]誘導メール
No.356-2
あえて狙ったものは、ふたつある。
ふたつとは言わない・・・ひとつだけでも反応があれば良い。
「いよいよ、今日だな・・・」
それに来るなら、そろそろ時間だ。
その時、メールの着信音がなった。
(き、来たぁ!)
思った通り、それも思った時間にメールが届いた。
他人からすれば、さながら予言者のように見えるだろう。
けど、自分としては“そうなるように”仕掛けた・・・言わば誘導した。
『誕生日おめでとう!素敵に歳を重ねてくださいね』
(よし、よし・・・狙い通り!)
もうひとつの狙い・・・・。
それは、あわよくばプレゼントのひとつでも貰おうとしたことだ。
別に高価なプレゼントを期待しているわけではない。
駄菓子程度でも十分だ。
実際、たまに限定品らしきお菓子を送ってくれる。
『ありがとう!お互い素敵に歳を重ねて行こうな』
浅い関係でも気に掛けてくれたことが嬉しかった。
確かに、そうなるように仕掛けたとしても・・・だ。
多少、後ろめたい部分もあるが、メールを強制したわけではない。
あくまでも、知華(ちか)の意思なんだ。
(とにかく、誘導成功!ということで・・・)
『そうよね!ずっと一緒に歳を重ねて行ければ』
あれ?・・・気のせいだろうか・・・。
(No.356完)
| 固定リンク | 0
「(015)小説No.351~375」カテゴリの記事
- [No.375-2]出せないメール(2012.06.30)
- [No.375-1]出せないメール(2012.06.29)
- [No.374-2]by せいじゅうろう(2012.06.28)
- [No.374-1]by せいじゅうろう(2012.06.27)
- [No.373-2]笑顔に逢いたい(2012.06.23)
コメント