« [No.355-1]福山さん | トップページ | ホタル通信 No.117 »

[No.355-2]福山さん

No.355-2

「・・・妬いてる?」
「べ、べつに・・・」

それは本当だ。
やきもちを焼く以前の問題だ。
戦う前に戦意喪失・・・言わば“白旗”をあげている。

「素敵だと思うことと、好きだということは違うのよ?」
「なんだよ、それ・・・フォローのつもりか?」
「まぁ、男性にはわかんないと思うけど」

いや・・・素敵だと思うのだから、それはイコール、恋だ。
“愛”と言っても、言い過ぎではないだろう。

「大袈裟なんだから」
「目の前で、福山さんが素敵だと言われたら誰だって・・・」

子供と思われても仕方がない。
実際、高校生ならまだ子供だろうし・・・。
少なくても俺には佐緒里(さおり)の気持ちが理解できない。

「女子はそんなものなの、いずれ分かるから」
「できれば今、知りたいけどな」

福山さんの名前を出された時点で、なんか負けた気分になる。
付き合っている俺って一体・・・。

「ねぇ今度、福山さんのライブに行かない?」
「嫌がらせのつもり?それとも荒療法?」
「もぉ・・・ほんと困った人ね・・・」

そう言うと、一呼吸おいてから、僕をまっすぐ見つめて口を開いた。

「素敵な人を、その人よりもっと素敵な人と一緒に見たいだけよ」No355
(No.355完)

読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ web拍手 by FC2

| |

« [No.355-1]福山さん | トップページ | ホタル通信 No.117 »

(015)小説No.351~375」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.355-2]福山さん:

« [No.355-1]福山さん | トップページ | ホタル通信 No.117 »