[No.353-1]ひろめ
No.353-1
登場人物=牽引役(男性)
=相手(女性)
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今では逆に普通の方が目だってしまうだろう。
「・・・その気持ち分かる」
美保子(みほこ)が“ウンウン”とベタにうなづいている。
「そんなもんかな」
最近の子供の名前は読み難い・・・そんな話をしていた。
その時、あることを思い出した。
小学生の時、クラスに変わった名前を持つ女の子がいた。
名前と言っても、姓名の“名”のことだ。
「どうせ、からかっていたんでしょ?」
ある日、その子のノートに名前が書いてあるのを見た。
もちろん、自分のノートだから自分の名前を書いている。
ただ、良く見たら・・・。
「まぁ確かに今で言えば・・・イジってたな」
ノートに“ひろ子”と書いてあった。
本当は“ひろめ”が彼女の名前だ。
「想像するに、“ひらめ”って言ってたんでしょ、違う?」
「よ、よく分かるな」
そう、魚の名前に似ていることで、随分からかったことを覚えている。
これがもし“ゆきめ”だったとすれば、こうはならなかったはずだ。
「大体、男子なんてそんなとこ突いてくるじゃない」
僕を含めた男子の言動が“ひろ子”と書かせたのは間違いない。
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