[No.352-1]針に気をつけて
No.352-1 [No.07-1]せいじゅうろう
登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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「こいつらにも迷惑かけたな」
「あの時は大変やったね」
菜緒(なお)が恐らく、目の前の彼らを代表して返事をした。
「だろうな・・・結局、汚れは取れなかったんだ?」
「うん・・・頑張ったんやけど、あかんかった」
以前、リラックマ、コリラックマ、キイロイトリをセットで買った。
どれも片手で持てるくらいのサイズのぬいぐるみだ。
買ったのは、菜緒にねだられたからではない。
ふたりで想いを共有できるもの・・・それが欲しかったからだ。
「でも、よく探したな」
「せやかて、うちらの大切な仲間やもん!」
仲間とはもちろん、ぬいぐるみのことだ。
他人に聞かれると間違いなく、不思議な顔をされるだろう。
小さい子供が発言しているわけではないのだから・・・。
「・・・だったな!大切な仲間だよな」
菜緒と住んでいる人間の“彼”に、仲間が捨てられた・・・。
ある日、そんなメールが届いた。
ただ、捨てられた背景は、あまり詳しく聞かされなかった。
「随分、探したんやで」
「そう言えばどこに居たんだっけ?」
「近所の空き地のゴミの中」
彼を問い詰め、自宅の窓から放り投げたことを白状させた。
彼らが居なくなってから、3日後のことだったらしい。
「確か・・・その頃ずっと雨降ってたよな?」
放り投げた場所は、いわゆる放置ゴミが散乱している場所だった。
そのためか、逆に持ち去られることがなかったらしい。
ただ、雨と周辺のゴミのために、かなり汚れる原因にはなった。
「そやで!発見した時も・・・やけど」
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