[No.351-2]孤独のかげ
No.351-2
「友達や彼氏と暮らしてたとか?」
それを“ひとり”と表現するのはどうかと思う。
けど、自分の力で生きることを“ひとり”と表現した可能性はある。
「違うよ、うちひとりだけ」
「ペット・・・じゃないよな」
言いかけて自分で否定をした。
「でも、ある意味、近いかもしれへん」
「近い?人間じゃないってこと?」
「そやね~人間のようで人間じゃない」
「それって・・・」
まさか、こんな話をしておきながら、笑いで落とすつもりだろうか?
でも・・・考えられる。
彼女は、生粋の大阪人だからだ。
「妖怪人間とちゃうよ~!」
「えっ!・・・あはは、だよね」
笑いを取るまでは行かないが、暗くなりがちな話を暗く語らない。
それが彼女の“強さ”なんだ。
「じゃぁ、答えは?」
「・・・かげだよ、か・げ・・・孤独なかげ」
「いつもうちを、支えてくれてたんよ」
それは、いつの時も彼女に寄り添い、そして彼女を裏切らなかった。
(No.351完)
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