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[No.351-1]孤独のかげ

No.351-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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「うち、高校は1年間しか行ってないやん?」

彼女はたまに返答に困る話をしてくる。

「・・・うん、なんとなく知ってる」

こう答えると同時に僕を指差した。

「・・・僕?」

高校中退者を目の前にして更に答えに困る。

「まぁ・・・一応、卒業したけど」
「ふ~ん・・・」

何とも言えない微妙な返事だ。
ただ、羨ましいとか、ひがんでいるわけではないようだ。
それは表情が物語っている。

「中退した後、ひとりで生活してきたんやで」

他人が聞けば恐らく“ひとりで?”と聞き返すだろう。
でも、僕は聞き返す必要はない。
その理由を知っているからだ。

「寂しかった?」
「いいや、ひとりやなかったし」
「ひとり・・・じゃない?」

一瞬、謎掛け風な答えに戸惑ったが、すぐに持ち直した。

(No.351-2へ続く)

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