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[No.350-1]どしゃぶりの雨の中で

No.350-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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「演歌のタイトル?」
「・・・違うよ」

本題に入る前に、少しだけ勘違いさせたまま話を続けることにした。

「じゃあ何よ・・・洋楽の邦楽タイトル?」
「また、変化球で来たわね」
「もしかして、今流行のAK・・・」

面倒になる前に、本題に戻すことにした。

「ごめん、ごめん、曲のタイトルじゃなくて」

単なる自然現象の“雨”に他ならない。
ただ、どしゃぶりを“単なる”という言葉で片付けて良いかは別だが。

「要は激しい雨ってこと?」
「そう、それそれ!」

1週間ほど前、急な大雨に降られた。
最初は小降りだったことが、判断を誤らせた。
大丈夫と思い、自転車を漕ぎ出して、少ししたら・・・。

「どしゃぶりになってしまったわけね?」
「うん、それに傘、持ってなかったし」
「そんなのコンビニに行けば・・・」
「行けたら行ってたわよ」

鶏が先か、卵が先か・・・的な話になるだろうか?
どしゃぶりのせいで一瞬にして、ずぶ濡れになった。
だから、コンビニに立ち寄るのさえ恥ずかしい状態になっていた。

「行こうか行かまいか迷っていたら」
「ますます、ずぶ濡れ?」

結局、もっと悲惨な状態に陥った。
まるで服を着たまま靴を履いたまま、お風呂に入ったようだった。

「それで、“もういいや!”と思って」

どしゃぶりの雨の中、自転車を滑走させた。

(No.350-2へ続く)

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