[No.347-1]遅いメール
No.347-1
登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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「う~ん・・・」
一通のメールを前に、しばらく腕組みが続いた。
別に難しいことが書いてあるわけではない。
「これ・・・いつのメールに対する返信だろうか?」
そうなる原因はいくつかある。
僕が送信メールをすぐに消してしまう習慣があること。
それにメールにタイトルを付けないこともそうだ。
そして何よりも・・・。
「相変わらず、智香(ちか)の返信は遅いな」
とは言え、明日の約束を求めるような内容ではない。
仮にそうなら、とっくに関係は破綻している。
送るメールは、主に僕の近況報告だ。
それに返信しなければならない内容はあえて含ませていない。
こうなることが分かっているからだ。
「でも返事がなきゃないで・・・」
正直、寂しい。
「とにかく」
今、目にしているメールは、送ったメールの返信には間違いない。
『確かにそれが大事なんだよね・・・』
その一言に続いて、色々と話が展開していた。
ただ、“それ”とか“あの”とか言われても、答えは前のメールにある。
・・・であれば送信メールを消さなければいい。
(それはそれで、まぁ・・・なんだ・・・)
とりあえず有らぬ波風を立てない男のマナーとでも言っておこう。
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