[No.345-2]行く手をさえぎる者
No.345-2
「ちょっと聞いてよ!」
「よくもまぁ・・・朝から色々ある人ね・・・」
まだ何も話していない。
ただ、こんなパターンが何度もあったから、友人も慣れていた。
「・・・で、今日は何?イケメンそれともダメ男?」
「なによ、そのダメ男って・・・」
言い返した割には語尾が弱い。
「・・・で、どっち?」
「それは・・・じゃなくて違うよ、今日は!」
話が完全に脱線する前に本線に戻そう。
「話を戻すけど」
戻すもなにも考えたら、話は全く進んでいなかったが・・・。
とにかく、朝の出来事を話した。
「ハト?人間は諦めたわけ?」
「また、そっちに話を持って行くんだから!」
急いでいる時に、行く手をさえぎるハトの群れ。
腹立たしくもあり、なぜか微笑ましくもある。
無関心ながらも、あの妙に人間慣れした態度。
「これがハトじゃなくて、イケメンならいいのになぁ~」
つい、本音が出て再び話を脱線させてしまった。
まさしく、少女漫画さながらの光景を妄想してみる。
イケメンが行く手をさえぎるほど、群がってくる・・・。
「・・・で、こんなふうに肩をギューっと抱きしめられたりして!」
自分で自分の肩を両手で抱きしめてみた。
その時、右手に何かヌメッとしたものを感じた。
(No.345完)
| 固定リンク | 0
「(014)小説No.326~350」カテゴリの記事
- [No.350-2]どしゃぶりの雨の中で(2012.03.24)
- [No.350-1]どしゃぶりの雨の中で(2012.03.23)
- [No.349-2]眼鏡で背伸び(2012.03.20)
- [No.349-1]眼鏡で背伸び(2012.03.18)
- [No.348-2]女友達(2012.03.16)
コメント