[No.345-1]行く手をさえぎる者
No.345-1
登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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(ちょ・・ちょ、ちょっと!危ないー!!)
声には出さなかった。
その代わりに、耳をつんざくブレーキ音が早朝の静寂を破った。
犯人は手入れ不足の私の自転車だった。
「もぉー、危ないでしょ!」
自転車を止め、改めて声に出した。
「・・・っても、あんた達は・・・」
こっちの心配をよそに、何事もなかったように歩いている。
それもいつものように、あの独特の首振りでだ。
「腹が立つと言うより笑っちゃうよ、全く・・・」
たかがハト相手に、怒っても大人気ない。
いや、とりあえず“人間気”がないと言っておこう。
とにかく、無関心さが妙に笑いを誘う。
「今度からちゃんとよけるのよ、いい?」
もちろん、目の前のハトに対して言っている。
けど、これまた、聞いちゃいない。
(・・・ほんとに困った連中・・・)
気付けば目の前どころか、足元に群がっていた。
「こらぁー!」
「わっ・・・」
「・・・・えっ!あっ・・・す、すみません!」
たった今、通り過ぎた女性が驚いていた。
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「(014)小説No.326~350」カテゴリの記事
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