[No.343-2]枯れた花
No.343-2
「それは・・・残念ね」
・・・の割に、友人の言葉は残念っぽく聞こえてこない。
「ほんとにそう思ってる?」
つい、聞き返してしまった。
せっかく冬を越したポインセチアが枯れてしまった。
あの日以来、すっかり元気を無くして行った。
緑が薄くなり、葉もうなだれるように張りを失っていた。
「たかが、植物でしょ?」
「あぁー!今のセリフ・・・全国の植物ファンを敵に回したよ!」
「あのね・・・」
あの日のこと・・・分かってるから余計に悔やまれる。
「その日に何があったの?」
「ちょっと、汗かいたのでエアコンを・・・」
冷気の噴出し方向に、ポインセチアを置いていた。
気付いてはいたが・・・。
「寒い冬も越してきたわけだから・・・関係ないと思ったの」
恐らく、急激な気温の変化を与えてしまったのだろう。
次の日、明らかに悪い意味で変化があったからだ。
「分かるけど、落胆が大き過ぎない?」
「実はね・・・枯れた原因が他にあるって思ってるんだ」
エアコンが原因であるのは間違いないと思う。
ただ、枯れる少し前から別の植物も育て始めた。
葉が落ちて虫っぽいポインセチアと双葉が可愛い・・・。
「他の植物に浮気したからかもしれない」
有り得ないけど、そんな気がしてならない。
動物も植物も・・・ましてや人間だって同じことが言えるだろう。
それを植物から教わった気分だ。
(No.343完)
| 固定リンク | 0
「(014)小説No.326~350」カテゴリの記事
- [No.350-2]どしゃぶりの雨の中で(2012.03.24)
- [No.350-1]どしゃぶりの雨の中で(2012.03.23)
- [No.349-2]眼鏡で背伸び(2012.03.20)
- [No.349-1]眼鏡で背伸び(2012.03.18)
- [No.348-2]女友達(2012.03.16)
コメント