[No.342-2]気遣い
No.342-2
『ごめん・・・土曜日だけど別の日に変更できるかな?』
数日後、由佳(ゆか)からメールが届いた。
『構わないよ、僕は』
ごく普通にメールを返した・・・後に気付いた。
(・・・もしかして)
以前にも何度か予定の変更はあった。
だから、今だって何ら不思議ではない。
ただ・・・今回は妙に引っ掛かった。
『もしかして、試験のことで気を遣わせてしまった?』
『大丈夫だよ、こっちで調整できたから』
問い掛けに対する直接的な答えにはなっていない。
けど、それだからこそ気遣いに溢れている。
それが嬉しかった。
『ありがとう、気遣ってもらって』
『その代わり、絶対に合格してね!』
『う、うん・・・もちろん!』
合格に向けて試験勉強のラストスパートが始まった。
(由佳のためにも結果ださなきゃ!)
本来、恐れていなかったことを恐れるようになった。
でも、結果を出すことが僕から由佳への気遣いとしよう。
(No.342完)
| 固定リンク | 0
「(014)小説No.326~350」カテゴリの記事
- [No.350-2]どしゃぶりの雨の中で(2012.03.24)
- [No.350-1]どしゃぶりの雨の中で(2012.03.23)
- [No.349-2]眼鏡で背伸び(2012.03.20)
- [No.349-1]眼鏡で背伸び(2012.03.18)
- [No.348-2]女友達(2012.03.16)
コメント