[No.339-2]絆
No.339-2
「そんなこと言ってたら、この情報・・・」
別に情報社会に乗り遅れる気はない。
「けど、メールだけで済んでしまうことも増えてない?」
それに現場に行かずとも、ネットの中だけで解決可能だ。
そんな世の中に、多少なりとも寂しさを感じている。
「だから便利なんじゃない!」
確かに間違ってはいない。
私だって、その恩恵は受けている。
人との出逢いもネットから・・・なんてことも少なくはない。
「なんて言えばいいのか・・・繋がりが希薄になったのかな?」
それこそ、電話やメール一本で簡単に人とつながることはできる。
「これからはもっとそれが加速するんじゃない?」
「SFの世界じゃないけど、生身の人間同士が逢うことなんて・・・」
「・・・そうね、いずれなくなっちゃうのかもね」
さっきまで威勢のよかった友人も、ややトーンダウンした。
でも、逢えて話せたからこそ、色々な展開が待っている。
「科学技術が発達しても、逢おうね、私たち!」
逆に友人が熱くなっていた。
それに、科学技術という言葉まで飛び出す始末だ。
「も、もちろんよ!固い絆で・・・」
(きずな・・・か)
「どうしたの?考え込んじゃって?」
「どんなに科学技術が発達しても超えることできない・・・」
人と人とのネットワーク・・・それが絆だ。
(No.339完)
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