[No.339-1]絆
No.339-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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こんなことを言い出すと、きっと“おばさん”と言われるだろう。
いや・・・30歳手前は十分、おばさんなのかもしれない。
「だから、言ったじゃない!」
「そう、怒らないの」
友人と待ち合わせをした。
ただ、どこで待ち合わせるか、場所は決めていなかった。
「やっぱり、最初から場所は決めなきゃ・・・」
「そんなの、ケータイがあれば何とかなるでしょ?」
友人が現代っ子なのか、私が昭和の人なのか・・・。
とにかく、待ち合わせ場所を決めずに事が進む。
今回だって、“どこかの駅で”しか決めていなかった。
「来る途中でメールしたでしょ?」
いつもケータイを凝視してるわけじゃない。
気付いた頃には、その駅を通過した後だった。
それに・・・。
「駅ってね・・・広いの知ってる?」
お互い方向音痴であることも災いした。
約束の時間から1時間が過ぎた頃、ようやく出逢うことができた。
「でも、こうして出逢えたじゃん!」
相変わらず能天気と言うか・・・結果オーライの性格だ。
「あのね・・・どれだけしんどい思いをしたことか・・・」
目の前の友人に限らず、最近こんなことが増えてきた。
簡単に連絡できることが、裏目に出る。
コミュニケーションが取れるようで、案外とれない。
いつでも、どこでも・・・は、かえって関係を遠のかせていた。
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