[No.336-1]温度差
No.336-1
登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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「何年ぶりかなぁ~」
「そうね・・・10年ぶりくらいかな?」
1年間だけ住んだことがある街の友人を訪ねた。
今だって親交はある。
ただ、こうして顔をあわせるのは転校して以来だ。
「どう、北海道は?」
「今はすっかり銀世界よ」
彼女は福岡、私は札幌。
ようやく、距離もお金もどうにかできる歳になった。
だから、こうして訪ねることができた。
「こっちは・・・随分と変わったみたいね」
一言で言えば、随分と都会的になった。
何が増えて何が減ったのか・・・具体的な記憶はない。
トータルとして、にぎやかな雰囲気になっていた。
「今、歩いてる道、覚えてる?」
「もちろんよ!」
たった1年であっても、通い慣れた通学路だ。
そう簡単に忘れられるものではない。
「この辺りも変わったのよね」
「でも、全然覚えていない」
それは私も同じだ。
かつて、建物があったであろう、目の前の空き地。
けど・・・全く、思い出せない。
「ほら、あそこも」
友人が目線の先の空き地を指差した。
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「(014)小説No.326~350」カテゴリの記事
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