[No.335-2]天からの贈り物
No.335-2
「なんで笑うの?」
葉月(はづき)が不思議そうな顔をしている。
「そんなシビアな話じゃないよ」
「だって、裏切りとか監視とか・・・」
思っていた通りだ。
肝心となる話の出だしを聞いていないようだった。
「雨男の話をしてたんだ」
「雨男?それってあなたのこと?」
「そうだよ」
葉月の顔が明らかに曇った。
恐らく、雨男との関連性の無さに困惑しているのだろう。
「そう!って・・・」
「じゃ、最初から話すから」
話を最初に戻して、もう一度、“裏切り”までしゃべった。
「傘を用意したら、雨は降らない・・・」
「傘を用意しなかったら雨が降って、そりゃ惨めなものさ」
まるで雨男をあざ笑うかのようなシチュエーションになる。
「・・・監視って・・・」
「まぁ、雷様に見られてる!ってとこかな」
「・・・今日、傘持って来たの?」
「今日は傘がなくても多分、大丈夫だろ?」
新年会を前に、全員の目が僕を睨み付けた。
(No.335完)
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