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[No.334-1]ばいばい

No.334-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(男性)
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「じゃぁ、バイバイ」

これからお互い帰路に着こうとしている。

「うん・・・バイバイ」

ごく自然に手を振り合って別れた。
何度も言ってきた彼へのバイバイ・・・。
でも、今は別の意味も含ませた。

(どうしちゃったのかな・・・わたし)

最近、彼との関係がギクシャクし始めた。
発端は些細なけんかのはずだった。
それが今になっても、関係を修復できずにいる。

「あっ、待って・・・」

声にしたつもりだった。
でも、この人ごみの中では彼が振り向くことはなかった。

彼を呼び止めようと思ったのには理由がある。
さっきのバイバイ・・・。
そこには、永遠のバイバイの意味を含ませていたからだ。
どうして、急にそんな気になったのか、自分でもわからない。

(・・・大丈夫だよね?)

見た目は、普段と変わらないバイバイではあった。
恐らく、私がそんな気で言ったとは気付いていないだろう。
ただ、不安を感じずにはいられない。

『誕生日のプレゼント、なにがいい?』

別に不自然じゃない。
毎年、この時期になったら、聞いていたことだ。
取り急ぎ、メールを送った。
とにかく、さっきのバイバイを払拭するためにも。

『そうなだぁ・・・じゃあ・・・』

今思えばこの時彼は気付いていた・・・永遠のバイバイに。

(No.334-2へ続く)

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