[No.332-2]愛は悲しみより深い
No.332-2
「どう・・・次の恋には進めそう?」
「自信はないけど・・・ね」
失恋なんて、どこにでもある話だ。
ただ、いざ親友ともなれば多少、話が違ってくる。
「今が苦しくても、いずれ・・・」
「そうね、笑える日が来る・・・か」
慰めではなく、自虐的に笑い飛ばすことが必要と感じた。
だから、あえてこんな話をした。
「・・・ちょっと待って」
「どうしたの?」
「今が、どん底だと仮定すると・・・」
咲(さき)が何やら、ブツブツと独り言を言い始めた。
「あなたの言葉を借りれば、いずれ底を見上げることになるよね?」
「そうよ、だから・・・」
今なんて、気にするほどのことじゃない。
もっと、底が待っているのだから・・・。
「・・・ということは」
「そんなの決まってるじゃない!」
「また、失・・・あっ!」
更に今よりも大失恋が待っていることになる。
「何度も聞くけど、これって良い例えだよね?」
「も、もちろん・・・よ!」
最後に話を上手くまとめる必要が出てきた。
咲の疑いの眼差しが、凄いからだ。
「悲しみのどん底を見上げる、愛と言うさらに深い底・・・」
(No.332完)
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