[No.332-1]愛は悲しみより深い
No.332-1
登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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どん底を見上げる・・・どこかで耳にしたことがあった。
「私も聞いたことがある、確か・・・」
大きく分けて、ふたつの意味を持つだろう。
ひとつ目は、悪い意味でだ。
底だと思っていた所よりも更にその下がある。
「例えば、株価ね」
「これが底値だと思ってたら・・・なに?そんな顔して」
「“株価”って言葉が出てきてビックリしたのよ」
「もぉ!私だってぇ」
とりあえず、うまい例えだと思う。
限りなく底値だと思っていたら、更にその下を行く。
「じゃあ、ふたつ目は?」
ふたつめ目は逆に良い意味でだ。
どん底に落ちたつもりでも、本当の底はもっと下の方にある。
「それって、良い意味?」
「あきらめの境地!という意味でだけどね」
さっきまでどん底だっと思っていた底を見上げる。
冷静に考えれば、事態は更に悪化している。
「でも、なんだか可笑しくない?」
今、居る“どん底”も、いずれ見上げることになるのだろうか?
そう考えれば、この底は底であってどん底じゃない。
そう思えれば、多少気も楽になる。
「そうね、逆にやる気のひとつでも出そうな気がしてくるね!」
「でしょ~!」
咲(さき)には、今、こんな話が必要だった。
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