[No.328-2]プラネタリウム
No.328-2
「・・・感動したからだろ?」
「そんなんやない」
センチメンタル?それともノスタルジア?それとも・・・。
「それじゃ・・・なに?」
つい、口が反応して切り返してしまった。
触れてはいけない部分があるかもしれないのに。
「なに、って言われても自分でも分からへん」
「・・・それ・・・」
言い掛けて、口を閉ざした。
「そう言えば・・・」
昨日のテレビのワンシーンに通じるものを感じた。
とある映画の製作記者会見の席で、ある女優が突然泣き出した。
不自然な涙に、当然、芸能リポーターが飛び付く。
「内容が内容だけに、今の自分と重ねたんじゃないかと思う」
そんな分かり易いシーンもあれば、無意識に出る涙もあるだろう。
自分でさえ、何に対して涙が出ているのか、分からない・・・。
「・・・そんなこともあるかもしれないな」
随分と長い前置きにも関わらず、大した結論には至らなかった。
「せやけどな・・・少なくとも悲しい涙とはちがうねん」
そう言うと夜空の星に負けないくらい、瞳が輝いていた。
(No.328完)
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