[No.326-2]心の穴
No.326-2
「そういうことだから」
そんなんじゃ、いつまで経っても次の恋に進めない。
進んでくれなきゃ・・・私も困る。
「どうしても無理?」
「あぁ・・・穴がピタリとふさがれない限りな」
それは絶対に有り得ない。
だって、彼女はもう・・・。
「・・・無理なの、分かってるくせに」
「だったら、ふさいでくれるのか?」
「それは・・・」
私は彼女じゃない。
それに、正直・・・私じゃ役不足なのは分かっている。
「別に構いやしないさ」
彼自身も本当は分かっている。
どうしようもないこと、どうしたらよいか、分からないことを。
「・・・分かった」
「なにがだよ?」
「私がその穴をどうにかする」
穴がふさがらないなら、こうするしかない。
「ちょっと、我慢してね!」
「な、なんだよ・・・怖い顔して」
大きく腰をひねり、右手首のスナップを最大限効かせた。
弾けるような音と共に、彼がしりもちを着いた。
「これでどう?ふさがらないなら、叩いて元に戻すまでよ」
(No.326完)
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