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[No.325-1]似てるけど似てない

No.325-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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「誰かに似てるんだよなぁ」

有希(ゆき)を見ていると、いつもそんな疑問に駆られる。

「・・・なら、良く似てるって言われるけど?」
「それに他にも・・・」
「うん、そうなんだけど」

確かに、いくつかあげられた有名人には似ている。
ただ、なにかスッキリしない。

「似てるけど似てない・・・」
「似てるけど・・・似てない?」

色々な人に似ていることで、かえって誰にも似てない。
そんな気がしている。

「なんて言うか・・・ほら、あれ」
「あれじゃ、わかんないよ」

完全にピタリと当てはまる人は居ない。
言わば色々な人の間を縫うような感じで似ている。

「・・・それって、ほめられてる?」

有希に出逢って以来、テレビなどを見る度に想うことがあった。
“この人、有希に似ている”・・・と。
それもひとりやふたりではない。
だから、ことあるごとに彼女のことを想う機会が増えて行った。

「なによ、黙り込んじゃって?」
「い、いや・・・ちょっと・・・ね」

彼女のことを好きになって行った理由はそこにもあった。

(No.325-2へ続く)

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