[No.323-2]隣人
No.323-2
事情があり、退職することになった。
ここに来てから丁度、2年が過ぎようとしていた。
「寂しくなるな・・・」
「静かになるな、の間違いでしょ?」
「・・・だな!」
最後まで仲が良かった・・・今日、この瞬間だって。
(私の中では、“これから先も”だけど・・・)
そんな想いを素直に口にしたい衝動に駆られた。
言った所で、迷惑がられることは分かっている。
でも、どうしても伝えたい。
「あ・・・の・・・ですね・・・」
「ん、なんだ?」
「いつまでも隣同士で居たいなぁ~なんて・・・」
「・・・」
彼の表情が変わった、明らかに困惑している。
(・・・やっぱり、そうよね)
「困ったな・・・」
(・・・ごめん)
「そんなつもりじゃ・・・」
「うちの両隣、部屋空いてないぞ」
「えっ!いや、そう言うことじゃなくて・・・」
誘導尋問だったのだろうか・・・この後、本音を話してしまった。
でも、それがあったから、今でも隣人として居られる。
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