[No.322-2]英国屋
No.322-2
あの日、この場所でいくつかの衝撃的な事実を知った。
彼女に結婚を前提とした彼が居ること。
そして若くして離婚を経験していること・・・。
「いろんな意味で、想い出の場所なんでしょ?」
「・・・」
「さっきの店内を見つめる目・・・」
その目がどうであったのか、あえて言及はしなかった。
でも、それで十分だった。
「なんとなく、わかるわよ」
「怒らないのか?」
「だって、昔のことでしょ?」
付き合っていたわけではないが、説明しがたい関係だった。
ただ、この日を境に明らかに変わったことがある。
「聞いてもいいの?」
「あぁ・・・」
その日を境に、彼女が自分の過去について語り始めた。
そして、それを境に彼女に対して情が移り始めた。
「だんだん、彼女の存在が大きくなっていったんだ」
結局それが悪い方向へと進んだ。
縮まったと思われたふたりの距離は逆に離れて行った。
「どうして?」
「住む世界が違ったみたい」
逃げ口実のようにも聞こえるが、事実そうだった。
「悪い・・・こんな話をして」
「ううん、次からは私のことを想い出してくれればそれでいい」
| 固定リンク | 0
「(013)小説No.301~325」カテゴリの記事
- [No.325-2]似てるけど似てない(2011.12.20)
- [No.325-1]似てるけど似てない(2011.12.18)
- [No.324-2]二度目の別れ(2011.12.17)
- [No.324-1]二度目の別れ(2011.12.16)
- [No.323-2]隣人(2011.12.13)
コメント