« [No.322-1]英国屋 | トップページ | [No.323-1]隣人 »

[No.322-2]英国屋

No.322-2

あの日、この場所でいくつかの衝撃的な事実を知った。
彼女に結婚を前提とした彼が居ること。
そして若くして離婚を経験していること・・・。

「いろんな意味で、想い出の場所なんでしょ?」
「・・・」
「さっきの店内を見つめる目・・・」

その目がどうであったのか、あえて言及はしなかった。
でも、それで十分だった。

「なんとなく、わかるわよ」
「怒らないのか?」
「だって、昔のことでしょ?」

付き合っていたわけではないが、説明しがたい関係だった。
ただ、この日を境に明らかに変わったことがある。

「聞いてもいいの?」
「あぁ・・・」

その日を境に、彼女が自分の過去について語り始めた。
そして、それを境に彼女に対して情が移り始めた。

「だんだん、彼女の存在が大きくなっていったんだ」

結局それが悪い方向へと進んだ。
縮まったと思われたふたりの距離は逆に離れて行った。

「どうして?」
「住む世界が違ったみたい」

逃げ口実のようにも聞こえるが、事実そうだった。

「悪い・・・こんな話をして」
「ううん、次からは私のことを想い出してくれればそれでいい」

今、この瞬間に想い出は塗り変えられた。
No322
(No.322完)

読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ web拍手 by FC2

| |

« [No.322-1]英国屋 | トップページ | [No.323-1]隣人 »

(013)小説No.301~325」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.322-2]英国屋:

« [No.322-1]英国屋 | トップページ | [No.323-1]隣人 »