[No.320-2]靴の中から
No.320-2
「一応、女の子で“源氏名”ってことで済ませといた」
「あはは、なるほど!」
あえて男女の区別が付かない名前にしてある。
「でもな、疑ってる雰囲気はあるねん」
「だろうな・・・」
メールの内容まで知られていれば、完全にバレていただろう。
「せやから、今まで以上に気を付けようと思ってるねん」
「そうした方がいい・・・僕も内容には注意するよ」
あえて女性っぽく、書くことにした。
万一に備え、ホタルは女性であることをアピールするために。
「それに、バレないように念には念を入れるつもり」
「どうするの?」
「・・・もう、こうしてる」
そう言うと、片方の靴を脱ぎ始めた。
「・・・な、なにしてるんだよ!?」
「なにって、ホイッ!」
軽いノリで、何やら紙切れを渡された。
「何だよ・・・これ?」
出どこが靴の中からであることは、この際、無視しよう。
「見たら分かる」
「・・・15日、19時・・・場所は・・・」
今、まさに僕達が居る日時と場所だ。
「メール消すやろ?だから忘れんように、紙に書いて入れてるねん」
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