[No.320-1]靴の中から
No.320-1
登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
いま振り返っても、まるでドラマのワンシーンかと思う。
それに嘘のようで、本当の話でもある。
「どないしよう・・・」
いつになく、奈緒美(なおみ)の表情が冴えない。
まさしく、言葉通りの表情だった。
「どうした?」
「うちらの関係がバレてるかも」
奈緒美とは広い意味で、友達以上の関係だ。
ただ彼女には、これも広い意味で彼氏が居る。
その上、同棲している状態だ。
「・・・なんでバレたの?」
とりたてて、悪いことをしているわけではない。
けど、ついそんな言葉で表現してしまう。
「あんな・・・ケータイ見られてん!」
「勝手に!?」
聞けばメールは都度消しているという。
だから、メールの内容までは知られてないらしい。
「メールの履歴見られて、“これ誰だ?”って言われた」
「でも、ある意味、大丈夫なんよ」
奈緒美が僕をジッと見つめる。
(名前がバレても大丈夫?・・・・あっ、そうか!)
「そう言えば、僕の名前・・・」
「こんな時のために“ホタル”にしててん!」
「だったよな!」
以前、ひょんなことから、僕のニックネームを知った。
もちろん、奈緒美が勝手に名付けたものだった。
| 固定リンク | 0
「(013)小説No.301~325」カテゴリの記事
- [No.325-2]似てるけど似てない(2011.12.20)
- [No.325-1]似てるけど似てない(2011.12.18)
- [No.324-2]二度目の別れ(2011.12.17)
- [No.324-1]二度目の別れ(2011.12.16)
- [No.323-2]隣人(2011.12.13)
コメント