« ホタル通信 No.099 | トップページ | [No.320-2]靴の中から »

[No.320-1]靴の中から

No.320-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
いま振り返っても、まるでドラマのワンシーンかと思う。
それに嘘のようで、本当の話でもある。

「どないしよう・・・」

いつになく、奈緒美(なおみ)の表情が冴えない。
まさしく、言葉通りの表情だった。

「どうした?」
「うちらの関係がバレてるかも」

奈緒美とは広い意味で、友達以上の関係だ。
ただ彼女には、これも広い意味で彼氏が居る。
その上、同棲している状態だ。

「・・・なんでバレたの?」

とりたてて、悪いことをしているわけではない。
けど、ついそんな言葉で表現してしまう。

「あんな・・・ケータイ見られてん!」
「勝手に!?」

聞けばメールは都度消しているという。
だから、メールの内容までは知られてないらしい。

「メールの履歴見られて、“これ誰だ?”って言われた」
「でも、ある意味、大丈夫なんよ」

奈緒美が僕をジッと見つめる。

(名前がバレても大丈夫?・・・・あっ、そうか!)

「そう言えば、僕の名前・・・」
「こんな時のために“ホタル”にしててん!」
「だったよな!」

以前、ひょんなことから、僕のニックネームを知った。
もちろん、奈緒美が勝手に名付けたものだった。

(No.320-2へ続く)

| |

« ホタル通信 No.099 | トップページ | [No.320-2]靴の中から »

(013)小説No.301~325」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.320-1]靴の中から:

« ホタル通信 No.099 | トップページ | [No.320-2]靴の中から »