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2011年12月

ホタル通信 No.103

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.119 奇妙な結論
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

今、ホタル通信を書いている段階で、実は小説のようにまぶた
が腫れています。

前半の目が腫れていることに関連した部分は、概ね事実です。
ただ、腫れている理由は、“今”腫れている理由と同じであり、
小説の後半とは異なっています。
腫れた理由・・・アレルギーなんでしょうか?たまに、まぶたが
痒くなり、それが数週間続きます。痒みに負けて、ゴシゴシす
ると、現代版お岩さんの出来上がりとなります。
ですから、後半のような失恋があったのではありません。ただ
単に、痒くてかいた結果です

それにしても、結構な具合で腫れていたものですから、これを
題材にして話を作ろうと考えました。
まぶたの腫れ・・・安直かもしれませんが、失恋、涙へと繋がる
ことに時間を必要としませんでした。それに、小説の方向性が
決まると、ラストもほぼ同時に決まったようなものでした。

全体的にイメージしやすい話ではないかと思っています。
冬のホタルではある瞬間の心情を小説に置き換えて描くことが
多いため、第三者にはあまり伝わらないことを承知で書いてい
ます。
あえて細かな描写を避けているせいでもあるのですが、商業的
な「小奇麗な小説」になることも避けています。
この話は心情的なものをほとんど描いておらず、“腫れている”
という見た目で話を進めています。
従って、イメージしやすく、比較的テンポ良く話が展開している
と言えます

タイトルに触れてから、最後を締めくくるとしましょう。
タイトルは小説が完成した後に付けました。イメージしやすい
話だけに、タイトルは少しひねって見ようかと。
最後の文章がそのままタイトルになったようなものですが、なぜ
このようなラストにしたか、それこそ奇妙です。

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[No.327-2]京阪電車

No.327-2

次々に飛び込んでくる風景を、ひとつずつ胸に刻んだ。
彼が見ているであろう、この景色を。

(私、どうして、こんなことしてるのだろう・・・)

たまに自分の行動力に驚くことがある。
行動力のすごさに驚いているわけではない。
普段、行動を起こさぬ私が、思い付きと勢いだけで行動を起こす。
それに驚いている。

(どれくらい時間が掛かるのかな?)

降車駅は分かっている。
でも、そこまで乗車している時間までは把握していない。

(まっ、関係ないか)

誰かと待ち合わせているわけでもない。
とにかく、目的地まで到着しさえすれば、それで良い。

『間もなく・・・淀屋橋・・・・』

目的地を告げるアナウンスが流れた。

(意外に近かったのね)

普段なら、せっかちな私はもう扉の付近に立っている。
だけど今はもう少し、このままでいたい。
彼の軌跡をたどる旅が、間もなく終るからだ。

今でも、ふと思い出すことがある。
あの時、なぜあのような行動を起こしたのかと。
それもわざわざ有休を使ってまで・・・。

「・・・京阪電車か」

奇しくも映画で阪急電車が公開されていた。
No327
(No.327完)

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[No.327-1]京阪電車

No.327-1

登場人物
=牽引役(女性)
-----------------------------

(これくらいの時間かな・・・)

記憶では仕事場に10時ごろ着くと聞いた。
それを逆算すると、今頃の時間になるだろう
ただ、一般的に言われる通勤時間帯はとっくに過ぎている。

(この辺りに立ってるのかな?)

一度、ホームの端から端まで目を移す。
階段が2つ、エスカレータが1つ、それらが改札口階から続いている。
横着な彼のことだ・・・きっと、エスカレータを選択するはずだ。

それにしても・・・高架になっているせいだろうか?
ホームから特徴的な景色が見えてはこない。
むしろ殺風景と言ったほうが、この状況では似合っている。
それでも彼が見ていたであろう景色を、同じ目線で感じたい。

『2番乗り場に淀屋橋・・・』

電車の到着を告げるアナウンスが流れ始めた。
無性に緊張感を感じる。
理由は・・・分かっている。
これから始まる小旅行に少なからず後ろめたさを感じているからだ。

「でも・・・行かなくちゃ!」

すでに電車はホームに進入中だ。
多少、大きな声を出しても気付かれはしない。
でも、限りなく小さな声で、自分に言い聞かせた。

足早に電車へ乗り込む。
朝のラッシュが過ぎていることもあり、座席は迷うほど空いている。

「そこにしない?」

(あっ!・・・いやだぁ)

今までのクセで、居もしない彼に話しかけてしまった。

(No.327-2へ続く)

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[No.326-2]心の穴

No.326-2

「そういうことだから」

そんなんじゃ、いつまで経っても次の恋に進めない。
進んでくれなきゃ・・・私も困る。

「どうしても無理?」
「あぁ・・・穴がピタリとふさがれない限りな」

それは絶対に有り得ない。
だって、彼女はもう・・・。

「・・・無理なの、分かってるくせに」
「だったら、ふさいでくれるのか?」
「それは・・・」

私は彼女じゃない。
それに、正直・・・私じゃ役不足なのは分かっている。

「別に構いやしないさ」

彼自身も本当は分かっている。
どうしようもないこと、どうしたらよいか、分からないことを。

「・・・分かった」
「なにがだよ?」
「私がその穴をどうにかする」

穴がふさがらないなら、こうするしかない。

「ちょっと、我慢してね!」
「な、なんだよ・・・怖い顔して」

大きく腰をひねり、右手首のスナップを最大限効かせた。
弾けるような音と共に、彼がしりもちを着いた。

「これでどう?ふさがらないなら、叩いて元に戻すまでよ」No326
(No.326完)

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[No.326-1]心の穴

No.326-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(男性)
-----------------------------

「まだ、残してるの?」
「いいだろ、別に」

元カノから貰ったプレゼントを今も大事にしている。

「・・・そうだけど」

私は彼にとって特別な存在ではない。
ただ、いずれそんな関係になりたいとは願っている。

「だったら、いいだろ?」

言えた義理じゃないことは分かっている、だけど・・・。
過去に固執する彼を見てると黙っていられない。
でも、単純に文句を言いたいのではない。

(彼女じゃなくて、私を見て!)

何度も言いかけて、口を閉ざした。

「もう、忘れたら・・・」
「無理だよ」
「どうして?」
「心に空いた穴は、彼女でなきゃ埋められない」

遠回しに“忘れられない”と言われている。

「心の穴は、彼女の形をしてるからな」

埋めると言うより、穴をふさぐ・・・と、いうことだろう。
だから、彼女でなきゃだめなんだ。
他の人では、穴を完全にふさぎきれない。

「だったら、その穴は永遠に埋まらないよ」
「だから、さっきからそう言っているつもりだけど?」

交わることがない、まさに平行線の話が続いた。

(No.326-2へ続く)

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ホタル通信 No.102

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.154 涙は女の武器
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:男性

読んで頂けるとすぐに分かると思いますが、全編に亘りゲーム
の要素を取り入れています。

実話度は低めで、事実と呼べるものは涙と武器という単語レベ
ルのものしかありません。ただ当時、自分の涙、他人の涙を含
めて、涙に関係したイベントが身の回りに起こっていました。

それでは、内容について触れて行きます。
話としては、商業的な要素が強く、冬のホタル的な要素は逆に
低めでしょう。
・・・武器・・・からタイトル決定、そして物語の展開、結論
までものの30分程度で書き上げることができました。もともと昼
休みの1時間の中で執筆活動をしているため、じっくり考えて書
くこともできず、2度ほど読み直して、修正を加える程度です。
その割には、手前味噌ですが、非常にテンポ良く作れた話であ
ると考えています。

ラストはいつもの通り、考えずに展開は登場人物に任せました。
本当は「ゴールドを使わされた」あたりで、ラストとするつもりでし
たが、タイトルである“涙は女の武器”が、あまりにも普通過ぎて
もうひとひねりしようと考えました
「じゃ、武器の反対で防具にしよう」と考え、それが不思議なくら
い、ラストに相応しいものとなりました。

最後にですが、ゲーム自体は好きですよ。
召喚獣・・・とくれば、ドラクエとRPGの人気を二分する、アレで
すよね。もちろん、ゲーム的な要素はそれを思い浮かべながら
書きました。

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[No.325-2]似てるけど似てない

No.325-2

「ふ~ん、まぁいいけど、ちゃんとオチがあるんだよね?」
「オチ?」
「今までの話にだよ」

いちいち、そんなことを考えているわけがない。
けど、少し意味深な会話でもあり、そう思われても仕方がない。

「も、もちろんだよ」

考えていることと、口に出たことが全く違う。
勢いに飲まれたのか、場の空気を読んだと言うべきか・・・。

「楽しみね」

(さてと・・・困ったな)

それこそ、どんなオチを付けようかと迷う。

(どうしよう・・・それなら、いっそのこと・・・)

「ほら、さっき話した“色々な人の間を縫うような”感じ・・・」
「それが?」
「その色々な人・・・僕のタイプなんだ」
「でも、なにか、こう・・・ピンと来なかったんだ」

誰もが、なにかひとつ足りない。
もうひと押しあれば、ピタリと当てはまるのだが・・・と。

「そんな時に“間を縫う人”と出逢ったんだ」
「それって、私のこと?」

誰もが誰かの間を縫うような感じで似ている。
でも、その微妙な違いを、人は敏感に感じ取っている。
好みのタイプとはそう言うものだ。

(No.325完)

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[No.325-1]似てるけど似てない

No.325-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
「誰かに似てるんだよなぁ」

有希(ゆき)を見ていると、いつもそんな疑問に駆られる。

「・・・なら、良く似てるって言われるけど?」
「それに他にも・・・」
「うん、そうなんだけど」

確かに、いくつかあげられた有名人には似ている。
ただ、なにかスッキリしない。

「似てるけど似てない・・・」
「似てるけど・・・似てない?」

色々な人に似ていることで、かえって誰にも似てない。
そんな気がしている。

「なんて言うか・・・ほら、あれ」
「あれじゃ、わかんないよ」

完全にピタリと当てはまる人は居ない。
言わば色々な人の間を縫うような感じで似ている。

「・・・それって、ほめられてる?」

有希に出逢って以来、テレビなどを見る度に想うことがあった。
“この人、有希に似ている”・・・と。
それもひとりやふたりではない。
だから、ことあるごとに彼女のことを想う機会が増えて行った。

「なによ、黙り込んじゃって?」
「い、いや・・・ちょっと・・・ね」

彼女のことを好きになって行った理由はそこにもあった。

(No.325-2へ続く)

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[No.324-2]二度目の別れ

No.324-2

これではメールの返しようがなかった。

「話は変わるけどさっき、一度目・・・って言ってたよね?」
「うん・・・」

数ヵ月後、彼から連絡が届いた。
完全に終った恋だと思っていたのに・・・。
だから、その喜びは半端なく嬉しいものになった。

「ふ~ん、復縁のいきさつは置いておくとして・・・」
「一度目って言うぐらいだから・・・」
「そうよ、やっぱり、ダメになった」

復縁してから数ヵ月後に、再び私たちは別れた。
やはり、最初の火種は最後まで消えることはなかったらしい。
どこかギクシャクした関係がその証拠だった。
それなりに・・・予感もあった。

「ただ・・・」

都合が良すぎる考えだが、別れたと言うべきかは悩みどころだ。

「どうして?」
「二度目はね、別れの言葉は無かったの」

それこそ「また明日!」のようなメールを最後に連絡が途絶えた。

「・・・で今に至る?」

それ以上、彼を追いかけようとは思わなかった。
逆に、別れてスッキリしたようにさえ感じた。

「でもね・・・今でもどこかで期待している自分が居る」No324
(No.324完)

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[No.324-1]二度目の別れ

No.324-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
『さようなら』

一度目の別れの言葉だった。
もちろん「また明日!」とは意味が異なる別れだった。

「・・・まぁ、至って普通よね?」

感動的ではないにせよ、もっと情緒的な感想が欲しい所だ。

「相変わらず、冷静と言うか・・・」
「だって、言葉通りでしょ?」

以前、付き合っていた彼から振られた。
ささいな口げんかが原因だった。

「私の方が悪かったんだけど」

もともと非があったのは彼の方だった。
でも、最初は小さかった火種を、私がどんどん大きくしてしまった。
意地を張りすぎたばかりに・・・。

「それでも彼がいずれ折れてくれると思ったの」
「・・・裏目に?」
「うん、違う意味で折れたみたい」

さすがに不安になり、謝りの電話をした。
けど、繋がることはなかった。
結局、数日後、別れのメールが届いた。

「なんて書いてあったの?」
「さようなら・・・その一言だけ」

笑ってしまうくらい、ハッキリした別れになった。

(No.324-2へ続く)

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ホタル通信 No.101

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

特別編(後半)

No.100」に引き続き、“せいじゅうろうシリーズ”の誕生秘話
をお届けします

No.07 せいじゅうろう」を書いた時点では続きを書く予定では
ありませんでした。「No.15 せいじゅうろう-菜緒-」は「No.07」
を今度は菜緒(女性)の立場で描いたものです。
従って、続編という位置付けではありません。あくまでも同一
の話です。

「No.100」の最後で書いたように、ひとつの恋が終わり、それ
が想い出に変わる予定だったのですが、終わったはずの恋が
また始まってしまったのです。
No.25 受信フォルダ8」が、その始まりになります。詳しくは
ホタル通信 No.078」をご覧頂ければ・・・

つまり「No.07」を書いた時点では続編の予定がなかったわけ
ですから、これ一話で完結することになりました。
ところが数ヵ月後にまた始まってしまい、どうしたものかと・・・。
それで仕方なく、自分の中で整理するために、ドラマなどで良
く使う手法で、無理やり納得することにしました。

その手法とは、第一話の冒頭で、最終回のシーンを見せるも
のです。あるいは推理小説で犯人を先に見せておいて、いか
に犯人を追い詰めるかを見せるものとも似ています。
今、書いているせいじゅうろうシリーズは、「No.07」の“懐かし
むまでの2年間”に体験した話として書いています。
ですから「No.07」以降の話は全て回想シーンとして描き続け
おり、仮にせいじゅうろうシリーズが最終回を迎える時、もう一
度、「No.07」のラストが登場することになります。

いかがでしたか?
これがせいじゅうろうシリーズ誕生の秘密なんですが、実はも
うひとつ秘密があります。
それは・・・もう最終回を書いてもいいんですよね、本当は・・・。
でも書けずに居るんです

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[No.323-2]隣人

No.323-2

事情があり、退職することになった。
ここに来てから丁度、2年が過ぎようとしていた。

「寂しくなるな・・・」
「静かになるな、の間違いでしょ?」
「・・・だな!」

最後まで仲が良かった・・・今日、この瞬間だって。

(私の中では、“これから先も”だけど・・・)

そんな想いを素直に口にしたい衝動に駆られた。
言った所で、迷惑がられることは分かっている。
でも、どうしても伝えたい。

「あ・・・の・・・ですね・・・」
「ん、なんだ?」
「いつまでも隣同士で居たいなぁ~なんて・・・」
「・・・」

彼の表情が変わった、明らかに困惑している。

(・・・やっぱり、そうよね)

「困ったな・・・」

(・・・ごめん)

「そんなつもりじゃ・・・」
「うちの両隣、部屋空いてないぞ」
「えっ!いや、そう言うことじゃなくて・・・」

誘導尋問だったのだろうか・・・この後、本音を話してしまった。
でも、それがあったから、今でも隣人として居られる。

(No.323完)

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[No.323-1]隣人

No.323-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(男性)
-----------------------------
社内恋愛がなぜ生まれるのか・・・。
その理由を身を持って知った。

「よ、よろしくお願いします!」
「こちらこそ」

緊張の中、初対面が終了した。

(良かったぁ・・・普通っぽい人で)

これから隣同士の付き合いが始まる。
隣次第で私の会社ライフが決まると言っても言い過ぎではない。

「もう!気を付けてくださいよぉ」
「はい、はい」

聞けば、そんなに歳が離れていないことが分かった。
そのせいか、打ち解けるのにそんなに時間は掛からなかった。
今では、打ち解けるどころか“タメ口”だ。
もちろん、年下の私が・・・。

「“はい”は一回でいいです!」
「はい、はい」
「もぉー!」

周りから見ても仲が良いように見えるだろう。
ただ、そうは言っても、そこから先に何か待っているわけではない。
彼もそうだろうし、私も期待はしていない。
私が独身であっても彼は結婚している・・・それが一番の理由だ。

「これ、ちゃんと片付けてくださいね」
「それから、これも!」

意識していないようで、している日々が続いた。
けど、2つの意味でその日々が終わることになった。

(No.323-2へ続く)

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[No.322-2]英国屋

No.322-2

あの日、この場所でいくつかの衝撃的な事実を知った。
彼女に結婚を前提とした彼が居ること。
そして若くして離婚を経験していること・・・。

「いろんな意味で、想い出の場所なんでしょ?」
「・・・」
「さっきの店内を見つめる目・・・」

その目がどうであったのか、あえて言及はしなかった。
でも、それで十分だった。

「なんとなく、わかるわよ」
「怒らないのか?」
「だって、昔のことでしょ?」

付き合っていたわけではないが、説明しがたい関係だった。
ただ、この日を境に明らかに変わったことがある。

「聞いてもいいの?」
「あぁ・・・」

その日を境に、彼女が自分の過去について語り始めた。
そして、それを境に彼女に対して情が移り始めた。

「だんだん、彼女の存在が大きくなっていったんだ」

結局それが悪い方向へと進んだ。
縮まったと思われたふたりの距離は逆に離れて行った。

「どうして?」
「住む世界が違ったみたい」

逃げ口実のようにも聞こえるが、事実そうだった。

「悪い・・・こんな話をして」
「ううん、次からは私のことを想い出してくれればそれでいい」

今、この瞬間に想い出は塗り変えられた。
No322
(No.322完)

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[No.322-1]英国屋

No.322-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
「喉でも渇いたの?」
「・・・どうして?」

とあるカフェの前で、つい足を止め見入ってしまった。
随分前に一度だけ訪れたことがある。

「どうして、って・・・ジッと見てたから」

そう思われても無理はない。
理由は異なるが、見入っていたのは事実だ。

「そうそう、喉が乾いた!」

色々と詮索されないためにも、この場はこれで乗り切ろう。

「・・・なんか変だけど、まぁ、いいわ」

多少の疑いを持たれながらも店に入った。
入ったとは言っても、オープンスタイルのカフェだ。
内外の区別がはっきりしない作りになっている。

「何にする?私はアイスティーのねぇ・・・」

偶然、莉乃(りの)が、あの日と同じメニューを注文した。

そもそもこのカフェの前を通ったことさえも単なる偶然だ。
何の意識もしなかったし、存在自体、忘れていた。

「なんにする?」
「ん?俺は・・・」

同じアイスティーでも銘柄を変えた。
これもあの日と同じだった。

「どうしたの?さっきからなんか変よ」
「そ、そうかな・・・」

アイスティーが運ばれてくるまでの時間が妙に長く感じられた。

(No.322-2へ続く)

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ホタル通信 No.100

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

特別編(前半)

2010年01月からスタートしたホタル通信もついに「No.100」を
迎えました。
そこでひとつの区切りとして、「No.100」と「No.101」の2回に亘
り、普段とは違った嗜好でホタル通信をお届けします

ブログを始めた頃は、いわゆる“小説のネタばらし”をする予定
ではありませんでした。だからこそ、実話や実話をヒントにした
スタイルが定着して行きました。
100%の実話を書いたとしても、それは“書き手のみぞ知る”と
言った具合です、でも、ちょっと待てよ・・・と。
これだと嘘のような本当の話であっても、読み手には何も伝わ
りません。そのため、読み手に「実話なの?」という一種のリア
リティを提供する目的で、小説の裏側と共に実話度を紹介する
ようにしました。

ブログを立ち上げた理由はいくつかあるのですが、そのひとつ
に、“ある人の存在”が大きく影響しています。
今でもその人の影響を色濃く受けており、その際たる小説が
“せいじゅうろうシリーズ”なんです。
この小説、自己満足も甚だしい、極めて意味不明な小説なの
ですが、一番ドラマティックに誕生したんですよ。
No.07 せいじゅうろう」で初登場し、それ以降定期的に登場
させています。

No.07は数字が表す通り、初期の作品で、何ともお恥ずかしい
限りの出来栄えです
それはさておき、小説後半の中盤「何だよそれ・・・」以降は現
時点から2年後の話になっています・・・ですが、2年前にこのよ
うな出来事があり、それを思い出して書いたのではありません。
2年後の未来を描いています。

では、どうして未来を描いたのか
詳しくは「No.101」でお話させて頂きますが、二言三言で表現す
れば、次のような感じでしょうか・・・。
『ひとつの恋が終わり、それを振り返るように小説を書いた。そし
て数年後、それを懐かしく思える瞬間があるだろう』
・・・になる予定だったのですが、ここから先がドラマティックに誕
生したと紹介させて頂いた理由になります。
ちなみに写真がうわさの“せいじゅうろうなんですよ。
(No.101へ続く)

No100

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[No.321-2]身軽なわけ

No.321-2

(居た居た・・・)

「おっはよぉー!」
「わぁー!びっくりするじゃない!」

いつもの時間、いつもの場所にいつもの同僚が居た。

「なによ・・・やけに朝から元気じゃない?」
「そう?」
「いいことでもあったの?」

残念ながら、それはなかった。
あればこんな程度じゃ済まない。

「何だか、朝から体が軽いのよね!」
「ふ~ん・・・」

興味なし・・・って、ところだ。
確かに逆の立場なら、私もそんな感じになるだろう。

「あはは!」
「な、なによ・・・急に笑い出して」
「ごめん、ごめん、体が軽い理由が分かったんだ」
「えっ!」

(自分でも分からないのに・・・)

「理由を教えてよ」
「・・・今、何時だっけ?」
No321
(No.321完)

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[No.321-1]身軽なわけ

No.321-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
「うぅ~ん、気持ちいいぃー!」

(あっ!いけない・・・)

周囲を気にせず、無意識に背伸びをしてしまった。
いつもなら、この逆だ。
会社に向かう足取りは重い。

(なんだろう・・・気持ちいい朝ね)

理由は分からないが、すこぶる調子がいい。
スッキリしてるというか、なんというか・・・。

「気温のせいかな?」

連日の寒さに比べると、今日は和らいでいる。

(まっ・・・それよりも)

昨日、飲んでいない。
恐らく、その効果だろう。

「それにしても、ほんと体も軽いわね!」

誰に言うわけでもないのに、つい声が漏れてしまった。

(さっ、張り切って行こう!)

駅に向かうだけなのに、妙なテンションだった。

(No.321-2へ続く)

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[No.320-2]靴の中から

No.320-2

「一応、女の子で“源氏名”ってことで済ませといた」
「あはは、なるほど!」

あえて男女の区別が付かない名前にしてある。

「でもな、疑ってる雰囲気はあるねん」
「だろうな・・・」

メールの内容まで知られていれば、完全にバレていただろう。

「せやから、今まで以上に気を付けようと思ってるねん」
「そうした方がいい・・・僕も内容には注意するよ」

あえて女性っぽく、書くことにした。
万一に備え、ホタルは女性であることをアピールするために。

「それに、バレないように念には念を入れるつもり」
「どうするの?」
「・・・もう、こうしてる」

そう言うと、片方の靴を脱ぎ始めた。

「・・・な、なにしてるんだよ!?」
「なにって、ホイッ!」

軽いノリで、何やら紙切れを渡された。

「何だよ・・・これ?」

出どこが靴の中からであることは、この際、無視しよう。

「見たら分かる」
「・・・15日、19時・・・場所は・・・」

今、まさに僕達が居る日時と場所だ。

「メール消すやろ?だから忘れんように、紙に書いて入れてるねん」

(No.320完)

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[No.320-1]靴の中から

No.320-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
いま振り返っても、まるでドラマのワンシーンかと思う。
それに嘘のようで、本当の話でもある。

「どないしよう・・・」

いつになく、奈緒美(なおみ)の表情が冴えない。
まさしく、言葉通りの表情だった。

「どうした?」
「うちらの関係がバレてるかも」

奈緒美とは広い意味で、友達以上の関係だ。
ただ彼女には、これも広い意味で彼氏が居る。
その上、同棲している状態だ。

「・・・なんでバレたの?」

とりたてて、悪いことをしているわけではない。
けど、ついそんな言葉で表現してしまう。

「あんな・・・ケータイ見られてん!」
「勝手に!?」

聞けばメールは都度消しているという。
だから、メールの内容までは知られてないらしい。

「メールの履歴見られて、“これ誰だ?”って言われた」
「でも、ある意味、大丈夫なんよ」

奈緒美が僕をジッと見つめる。

(名前がバレても大丈夫?・・・・あっ、そうか!)

「そう言えば、僕の名前・・・」
「こんな時のために“ホタル”にしててん!」
「だったよな!」

以前、ひょんなことから、僕のニックネームを知った。
もちろん、奈緒美が勝手に名付けたものだった。

(No.320-2へ続く)

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