[No.316-2]さすらいの太陽
No.316-2
「・・・気に障る部分もあるけど」
「まぁまぁ、怒らない!怒らない!」
さっきまでとは立場が逆転した。
悩み相談どころか、こっちが落ち込んでしまいそうだった。
「で、アドバイスだったわね!」
多少、投げやり的な言葉になってしまった。
けど、なにかアドバイスはしてあげたい。
思ってる以上に、傷付いていると思うからだ。
散々泣いたのだろう・・・まぶたが赤く腫れている。
「ある歌を紹介してあげるよ」
「・・・歌?」
私がとやかく言うより、効き目があると考えたからだ。
歌は、それこそ色々な要素が凝縮されている。
「昔のアニメの歌なんだけどね」
ただ、口ずさむのはチョット照れくさい。
「“さすらいの太陽”で検索してみて」
「YouTubeにあるから・・・それとオープニングの歌だから」
もちろん、歌詞がアドバイスになる。
でも歌詞だけでなく、全体的な雰囲気も伝えたい。
だから、歌詞検索を勧めなかった。
「楽しみね、どんなアドバイスしてくれるのか」
おそらく、その期待は裏切られることになるだろう。
騙したわけじゃないけど、その歌にアドバイスは含まれていない。
現実に向き合って生きること・・・。
何もアドバイスしないことが、時にはアドバイスになることもある。
(No.316完)
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