[No.314-2]ファースト・イベント
No.314-2
ある日、玲於奈(れおな)から昔話を聞かされた。
「うちな、中学生の時、イジメられてたんよ」
そもそもの原因は、恐らく彼女の家庭環境にあるのだろう。
そんな家庭環境の中で彼女の人格が形成された。
「別に、なにもしてないんやけど・・・」
「うちの存在自体、あかんかったみたい」
その環境はある意味、彼女を大人に変えた、でも・・・。
大人びた考えや行動が周囲に受け入れられるはずもなかった。
「気が強かったのは昔からなんだ?」
「そうみたい、良くも悪くも」
どことなく遠くを見つめる瞳に、しばらく声を掛けられなかった。
自分の性格が色々な面で災いしているのを自覚している。
「でもいいんじゃない?」
「よくないやん!以前もパソコンのことで」
前に聞いた例のパソコンのことだ。
「あれは、どう考えても相手が悪いだろ」
「せやかて、うちも言い過ぎた」
自分の性格を自覚してればそれでいい。
気の強さも、今では彼女のひとつの持ち味だと感じている。
確かに最初は違う一面を見て驚きもしたが・・・。
「こんな性格やから損ばっかりやし」
「・・・僕にとっては得だっだよ」
そんな彼女だからこそ、興味を持った。
全てをひっくるめて、玲於奈のことを好きになっていった。
そう・・・数々の点を繋ぎ合わせるかのように。
(No.314完)
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