[No.313-1]すっぱいぶどう
No.313-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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「やだぁ・・・」
思わず声が出てしまった。
「どうしよう・・・家まで相当距離あるし・・・」
けど、悩んでもいても始まらない。
とにかく、パンクしている自転車を押しながら帰路に着いた。
「それは大変だったね」
「まぁ・・・ね」
「あれ?そのわりには、涼しげな顔だけど?」
確かに昨日は大変だった。
自転車で数十分の距離も、歩くとなれば倍以上時間が掛かった。
それにいつもの相棒が逆に足手まといにもなっていた。
「わたしね、なんでも都合よく解釈するの」
「どういう意味?」
「自転車がパンクしたのなら・・・」
結果的に自転車に乗れない。
乗れないことにより、大袈裟だが運命が変わったはずだ。
「もし、パンクせずにそのまま乗って帰っていたら・・・」
「事故に遭ってた・・・とか?」
事故を回避するために自転車はパンクした。
・・・そう考えるようにしている。
だから、パンクというトラブルが発生したわけではない。
むしろ、逆にラッキーな出来事が発生したと言える。
「どう?前向きな考えだと思わない?」
「うーん、どうだろう・・・」
ふたつ返事で同意を得られると思っていた。
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