« [No.312-2]重なるイメージ | トップページ | [No.313-2]すっぱいぶどう »

[No.313-1]すっぱいぶどう

No.313-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
「やだぁ・・・」

思わず声が出てしまった。

「どうしよう・・・家まで相当距離あるし・・・」

けど、悩んでもいても始まらない。
とにかく、パンクしている自転車を押しながら帰路に着いた。

「それは大変だったね」
「まぁ・・・ね」
「あれ?そのわりには、涼しげな顔だけど?」

確かに昨日は大変だった。
自転車で数十分の距離も、歩くとなれば倍以上時間が掛かった。
それにいつもの相棒が逆に足手まといにもなっていた。

「わたしね、なんでも都合よく解釈するの」
「どういう意味?」
「自転車がパンクしたのなら・・・」

結果的に自転車に乗れない。
乗れないことにより、大袈裟だが運命が変わったはずだ。

「もし、パンクせずにそのまま乗って帰っていたら・・・」
「事故に遭ってた・・・とか?」

事故を回避するために自転車はパンクした。
・・・そう考えるようにしている。
だから、パンクというトラブルが発生したわけではない。
むしろ、逆にラッキーな出来事が発生したと言える。

「どう?前向きな考えだと思わない?」
「うーん、どうだろう・・・」

ふたつ返事で同意を得られると思っていた。

(No.313-2へ続く)

| |

« [No.312-2]重なるイメージ | トップページ | [No.313-2]すっぱいぶどう »

(013)小説No.301~325」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.313-1]すっぱいぶどう:

« [No.312-2]重なるイメージ | トップページ | [No.313-2]すっぱいぶどう »