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2011年11月

ホタル通信 No.099

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.133 怪物の涙
実話度:
★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

実話度は低めですが、この話には実在のモデルが存在します。
そのモデルのエピソードを大きく作り変えました。

ある辛いことがあり、それをグッと我慢していた。
その辛い胸の内を話したことで、今まで我慢してきたからこその溢れる涙を抑えることが出来なかった・・・そんなシーンを切り取っています。
前半冒頭はドラマでも良く使われているようなシーンだと思いますが、ラストを印象付けるためにイメージしやすいものを選びました。
ラストを印象付けるために、冒頭のシーンを・・・となると、言わずともラストが最初に決まり、それを肉付けするかのように話をさかのぼりながら作りました

ところで、タイトルである怪物の涙・・・。
なぜ、そのようなタイトルになったのかは小説を読んで頂ければ分かって頂けると思います。
でも、泣けない女、泣かない女を単純に怪物呼ばわりしているわけではありません。そのあたりも感じ取って頂ければ幸いです

最後に話を作り変える前のエピソードなんですが、涙を誘うきっかけになったのは1通のメールでした。ややプライベート寄りの仕事上のメール・・・と言えば良いのでしょうか。
従って、涙のシーンを実際には見てはおらず、メールの返信から伝わる感情を小説にしています。
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[No.319-2]いつも通りの味

No.319-2

さて、どうしたものか・・・。
別に間違った所で、責められるものではない。
ただ、妙な緊張感には包まれている。

「あぁ、それね・・・」

まずは、一呼吸置くために、余り意味がない言葉を挟んだ。
お米、水、炊き方・・・いずれか、またはその組合せだろう。

(炊飯器は替わってなかったよな・・・)

「そう、それそれ!」

(そう言えば思い出した・・・)

リラックマ米・・・最近、見たことがある。
もちろん、パッケージにリラックマが描かれているだけに過ぎない。
美味しさは、お米そのものの力だろう。

「や、やっぱり米の力だね~」

流れに乗って、勢いで言い切ってしまった。
これが吉と出るか凶とでるか・・・。

「おっ!鋭いやん」
「だ、だろ・・・」

嬉しさ半分、緊張半分の声になった。

「せやけど、不思議やわ~」
「何がだよ?」
「お米自体は替えてへんのに」
「・・・へっ!?」

そう言うと、菜緒が目の前に何かを差し出した。

「せいじゅうろうパワーやろか」

やはり、いつも通りの味だったようだ。
Sn3p0041
(No.319完)

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[No.319-1]いつも通りの味

No.319-1   [No.07-1]せいじゅうろう

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
「どない!なぁ・・・どない?」

菜緒(なお)の思いっきりの大阪弁にもスッカリ慣れた。

「どない・・・って、何が?」
「今、食べてるご飯のことやん!」

何の前振りもなく、いきなり話が展開する。

「まぁ、いつもの通・・・」

(・・・まさか!)

言い終る前に、ハッと気付いた。
お米を替えた可能性がある。

「・・・の、てか、んだ・・・いつもより美味しいよ!」

焦りすぎて接続詞が成立していない。
それに言い終えてから、また気付いた。

(もしかして、水・・・?)

いや、炊飯器を新しくしたのかもしれない。
さりげなく、炊飯器に目を向けて見た。

「そやろ!うちも美味しくなったと思ってるねん!」

会話はなんとか成立しているようだ。

「うん、うん、旨い旨い!」

その瞬間、菜緒の表情が変わった。
恐らく・・・。

「じゃぁ・・なんで美味しくなったか分かる?」

思ったとおり、そこに直球が投げ込まれた。

(No.319-2へ続く)

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[No.318-2]超・雨女

No.318-2

案の定、今にも泣き出しそうな空模様だった。
私の力を持ってすればコースに一歩でも踏み出した途端・・・。

「・・・おっ!降って来たな」

恐れていたことが現実になった、それもまだ室内だというのに。

「ところで接待先は?」
「あぁ、もうプレーしてるよ」
「・・・えっ!?」

(プレーしてる?どういうこと・・・?)

「じゃぁ・・・私たちって・・・?」
「まぁ、いいから、いいから!」

なぜだか嬉しそうな顔だ、雨が降り出しているというのに・・・。
それに・・・。

「雨・・・ひどくなってきましたね」

ますます、雨足が強くなってきた。
もはやゴルフどころではない。

「すみません・・・私のせいで・・・」
「・・・雨女ってことだろ?それも“超”が付く・・・」
「知ってたんですか!?」

聞けば、ライバル会社が接待ゴルフをしているらしい。

「雨で中止だろうけどな」
「・・・だから、あえて呼んだのですか?」
「だったら、言ってくれれば・・・」
「重荷に感じたら、本来の“力”を発揮できないだろ?」

さすが上司・・・私のことを良く見ている。

(No.318完)

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[No.318-1]超・雨女

No.318-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(男性)
-----------------------------
「今週末、ゴルフに付き合ってくれないか?」
「えっ!私ですか・・・?」

公私共々、信頼を寄せている上司だ。
いわゆる“セクハラまがい”のお誘いではないのは明らかだ。

「いいんですか・・・私で?」
「逆に、君じゃないとダメなんだ」

聞けば接待ゴルフらしい。
だからこそ、初心者の私が選ばれたようだ。

「下手な方が、喜ばれますもんね」
「・・・悪いけどそういうことなんだ」

これも仕事の内だと認識している。
だから、嫌だという気持ちはない。
でも・・・ひとつだけ気掛かりなことがある。

「本当に私でいいのでしょうか?」
「もちろん!思いっきり下手さ加減を披露してくれれば」

披露もなにも、確実にそうなる。
これに関して言えば、まぁ・・・接待は大成功の内に終るだろう。

「あっ、はい・・・それはもちろん!」

ただ、なかなか気掛かりなことを切り出せない。

(私、“超”が付く雨女なんです!・・・と)

雨が降っては接待どころじゃない。
けど、切り出したところで、科学的な根拠がない話だ・・・。
結局、それを伝えることができず、当日を迎えた。

(No.318-2へ続く)

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ホタル通信 No.098

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.44 窓辺から
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

初期の作品に見られがちな“ムーディな話”ではありますが、これまた完成度が低く、分かりにくさ満載です

実話度0%なので、とりたてて主軸となる事実はありませんが、“カフェでひとり、何かを想っている人”と“その周囲”を描写したような話です。
ただ、こんな話を書く時は、決まって何らかの悩みを持っている時であり、そのアウトプットとして小説が誕生します。
小説の中に“大勢の中の一人”という言葉が、2度登場します。
これは対比させた表現として使っています、大勢とひとりと言う意味で捉えてください。
その他に、夏の陽気に対する心の中、人の雑踏に対する店内の軽やかさも、対比表現させた部分です。

様々な表現を使い“光と影”を演出したのは、当時、抱えていた悩みごとのせいです。
悩みごとについては明言を避けますが、自分の悩みではなく、他人の悩みを一緒に悩んでしまう・・・こんなパターンでした。
で、“どうすれば良いのだろうか?”と悩む姿が、この小説そのものです
何となくムーディな言葉を使い、ちょっとお洒落な雰囲気を漂わせて・・・一言で言えばアンニュイな状況を描いてみました。

最後に補足します。
前半の終了間際のセリフ「季節に関係ないじゃん!」「そうなんだけど・・・」は回想シーンになります。
超短編だけに、あえてその辺りの描写を避けたのですが、恐らく読んでくださる方には伝わっていないと思います。
今でもそのスタイルは変えていませんが、改善の意味を込めてマークを付けるようにしました。
No098
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[No.317-2]胸が見えた!?

No.317-2

胸が大きいせいか、胸のあたりに隙間ができる。

「よく分からないけど?」

確かに言葉では伝えにくい。
・・・けど、今カノでは役不足だ。

「どうせ、私は貧乳ですよ!」

目線ですぐさま感じ取られてしまった。
でも、これには敏感に反応せず、とにかく説明を続けた。
ブラウスのボタンとボタンの間・・・そこが口を開けたようになる。
・・・で、真横に居ればその隙間から胸が見えてしまう・・・と。

「だから素直に言ったんだよ“見える”って」

胸が大きいからそうなるとは断言できない。
ただ、窮屈な部分と弛んでいる部分ができていた。

「どう思う?」

女子としてだけではなく“付き合っている”という関係も同じだ。

「どう思うって・・・」

僕としては、その言葉に特別な意味を含ませたつもりはない。
事実だけを淡々と言ったに過ぎない。

「普通、言わないんじゃない?」

元カノと同じセリフを言った。

「やっぱり、そう来るかぁ・・・・」
「若干違うけど・・・今カノに、こんな話をしないんじゃない?普通!」

彼女が不機嫌な理由はこんな話をしたせいだろうか。
それとも、胸の大きさで負けたせいだろうか・・・。

(No.317完)

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[No.317-1]胸が見えた!?

No.317-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
『普通、言わないんじゃない?』

今でも心に残っている、元カノの一言だった。

「よほどひどいこと言ったの?」

今カノの言葉だった。

どういう話の流れでこうなったのか・・・。
こと元カノの話題になると、恐ろしいほど話が深堀される。

「まさか!ただ、素直な気持ちを言ったまでだよ」

高校生の時に付き合っていた彼女は胸が大きかった。
そのせいか、時より嬉しいパプニングに遭遇した。

「・・・そっち系?」

やや視線が厳しい。

「と、とりあえず最後まで聞いて!」

否定はしない・・・そっち系の話題には違いないからだ。
でも、言うほど不純な話でもない。

「なによ、そのパプニングって?」

夏になると、制服はブラウスだけになる。

「・・・そんな目で見てたの?」
「違う!違う!当時はまだ・・・」
「当時?じゃあ今はなによ!?」
「いや、だから、それでな・・・」

ギリギリアウトかもしれないが、勢いで話を続けた。

(No.317-2へ続く)

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[No.316-2]さすらいの太陽

No.316-2

「・・・気に障る部分もあるけど」
「まぁまぁ、怒らない!怒らない!」

さっきまでとは立場が逆転した。
悩み相談どころか、こっちが落ち込んでしまいそうだった。

「で、アドバイスだったわね!」

多少、投げやり的な言葉になってしまった。
けど、なにかアドバイスはしてあげたい。
思ってる以上に、傷付いていると思うからだ。

散々泣いたのだろう・・・まぶたが赤く腫れている。

「ある歌を紹介してあげるよ」
「・・・歌?」

私がとやかく言うより、効き目があると考えたからだ。
歌は、それこそ色々な要素が凝縮されている。

「昔のアニメの歌なんだけどね」

ただ、口ずさむのはチョット照れくさい。

「“さすらいの太陽”で検索してみて」
「YouTubeにあるから・・・それとオープニングの歌だから」

もちろん、歌詞がアドバイスになる。
でも歌詞だけでなく、全体的な雰囲気も伝えたい。
だから、歌詞検索を勧めなかった。

「楽しみね、どんなアドバイスしてくれるのか」

おそらく、その期待は裏切られることになるだろう。
騙したわけじゃないけど、その歌にアドバイスは含まれていない。
現実に向き合って生きること・・・。
何もアドバイスしないことが、時にはアドバイスになることもある。

(No.316完)

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[No.316-1]さすらいの太陽

No.316-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
悩みごとの解決方法は様々あるだろう。
ただ、他人の悩みごとの解決となると・・・。

「ねぇ、相談に乗ってくれる?」

友人が明らかに暗い表情をしている。
口は悪いが、明るいだけがとりえの友人だ。

「別れたの、彼と・・・」

つい、「なんだぁ~」と口が滑りそうになった。
これも口が悪いが、どこにでもある話だ。

「・・・それは残念だったね」

とりあえず当たり障りのない言葉で慰めた。

「原因は?」
「・・・彼の浮気」

いまどきドラマや小説にも登場しない“鉄板”な展開だ。
・・・とはいうものの、傷付いてはいるだろう。

「男性不信に陥りそうだよ」
「なに言ってんのよ、まだ二十歳じゃない!」
「だから、傷付いてるんじゃない!」

反論が出来なかった。
確かに・・・若さゆえに傷を癒す方法を持っていない。
それ以前に傷付くことに、そんなに慣れていない。

「ごめん・・・」
「それより、何かアドバイスない?」
「私でいいの?」
「うん、だって経験豊富でしょ?」

私が選ばれた理由は、不名誉にもそこにあったらしい。

(No.316-2へ続く)

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ホタル通信 No.097

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.186 花火
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

細かい描写を除けば、ほぼ100%実話と言えるのですが、肝心のラストをお茶を濁したようにしたため、80%としました。
語り手は小説の牽引役である男性ですが、作者は出張した男性あるいは出張先の職場の女性・・・そのどちらかになります。

さて、現実の展開は、ほぼ小説通りです。
滞在期間は1週間程度でしたが、驚くほどのスピードで仲良くなって行きました。
ただ、そうは言っても、そこにはアダルトな要素はありません。お互い若かったこともあり、色々なことを意識する必要が逆になかったかもしれませんね

実は海に行く前に飲み会があって・・・だからこそ“どこかの海”という表現になっています。
今、思えばそれこそ青春ドラマか昭和のトレンディドラマにも使えそうなワンシーンでした。夜海、花火・・・今でも鮮明に覚えています。

ラストを含め、気になるふたりの関係について話を進めます。
“仲が良い”から先に発展することはなく、楽しかった想い出として、静かに夏は終りました。もちろん、それ以上の関係を望んでいなかったこともあります。
・・・ところが1年後、思わぬ所で再会する機会が生まれました。
今度は彼女が仕事で出張して来ることになったのです。

でも、私たちが出逢うことはありませんでした。逢うことが叶わなかったのではなく、理由を付けてあえて逢わなかったのです。
理由については色々と想像してみてください。
また、お茶を濁したような終り方になってしまいましたけど(笑)
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[No.315-2]三行小説

No.315-2

「是非、三行小説聞かせてよ!」

当時、特に人気だった、とある作家の小説をネタにした。
もちろん、今でも不動の人気だ。

「誰?」
「ほら、三毛猫が活躍する・・・」
「あぁ・・・ホームズね?」

作家の名前を言えばいいのに、なぜか間接的な表現になった。
それもお互いに・・・。

「ねぇ、早くぅ!」
「期待しないで聞いてよ」

物の数秒で終了する長さだ。
勢いを付けて、さっさと話してしまおう。

「待ってましたぁ!」

流れに乗って、一気に話した。

「・・・プッ!」

概ね、予想された展開だ。

「だから、言ったじゃない・・・」
「ごめん、ごめん!話が濃厚過ぎて」

その作家の数々の作品をギュッと凝縮したつもりで書いた。

「ねぇねぇ、もう一回、勢いで!お願い!」
「もぉ・・・仕方ないわね」

『ニャー!
犯人はお前だ!
私がやりましたぁ・・・』

No315
(No.315完)

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[No.315-1]三行小説

No.315-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
意外かもしれないがそれは、“趣味”ではない。
むしろ、“仕事”に近い。

「だから続けられるのかもしれない」

ブログで短編小説を書いている。
小説と呼べるほど、そんな格調高いものではないが・・・。

「何年くらい続けているの?」
「そうね・・・もうすぐ、3年になるかな」

ブログを立ち上げた理由は、一言では言い尽くせない。
それよりも、今になって思い出したことがある。

「・・・なにを?」
「私ね、大昔に一度だけ、小説書いたことがあったの」

ブログを続けたことで、ずっと忘れていたことを思い出した。

「いつ頃?」
「えっと・・・ね・・・高校生の時だった」

当時、付き合っていた人の影響で、小説を読み始めた。
電車通学もあり、行き帰りの車中は絶好の読書タイムでもあった。

「でね、彼の誕生日に冗談のつもりで」
「小説書いたの?」
「うん、それも三行だけ」
「・・・短っ!」

どうして、三行なのか、さすがに理由は覚えていない。
けど、この時に今へと繋がるものが生まれた可能性もある。

「そうなると気になるわね・・・・覚えてる?」
「まぁ、一応ね」

覚えているというより、忘れるほどの量ではない・・・のが正解だ。

(No.315-2へ続く)

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[No.314-2]ファースト・イベント

No.314-2

ある日、玲於奈(れおな)から昔話を聞かされた。

「うちな、中学生の時、イジメられてたんよ」

そもそもの原因は、恐らく彼女の家庭環境にあるのだろう。
そんな家庭環境の中で彼女の人格が形成された。

「別に、なにもしてないんやけど・・・」
「うちの存在自体、あかんかったみたい」

その環境はある意味、彼女を大人に変えた、でも・・・。
大人びた考えや行動が周囲に受け入れられるはずもなかった。

「気が強かったのは昔からなんだ?」
「そうみたい、良くも悪くも」

どことなく遠くを見つめる瞳に、しばらく声を掛けられなかった。
自分の性格が色々な面で災いしているのを自覚している。

「でもいいんじゃない?」
「よくないやん!以前もパソコンのことで」

前に聞いた例のパソコンのことだ。

「あれは、どう考えても相手が悪いだろ」
「せやかて、うちも言い過ぎた」

自分の性格を自覚してればそれでいい。
気の強さも、今では彼女のひとつの持ち味だと感じている。
確かに最初は違う一面を見て驚きもしたが・・・。

「こんな性格やから損ばっかりやし」
「・・・僕にとっては得だっだよ」

そんな彼女だからこそ、興味を持った。
全てをひっくるめて、玲於奈のことを好きになっていった。
そう・・・数々の点を繋ぎ合わせるかのように。

(No.314完)

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[No.314-1]ファースト・イベント

No.314-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
-----------------------------
「・・・ひどいと思わへん?」
「思う!思う!」

玲於奈(れおな)の勢いに負けたような返事になった。
でも、言ってることは間違ってはいない。

「ほんとに頭にくるわ!」
「そりゃ、勝手に見られたら怒るよな・・・」

玲於奈は寮生活をしている。
ひとり部屋ではなく、ふたり部屋だ。
その同室の人にパソコンを勝手に使われたという。

「色々とプライベートな部分もあるやろ」

ある意味、個人情報の宝庫とも言える。
メールやらデジカメの写真やら・・・。

「一言も二言も、そいつに言うたったわ!」
「そいつってな・・・」

玲於奈が“そいつ”について話始めた。
でも、玲於奈には申し訳ないが、僕の興味は別にある。

「・・・なんだよね!」
「そうなんだ」

どうにでも取れる曖昧な返事を返した。

それにしても・・・。
玲於奈が怒っている姿を始めてみたかもしれない。

そして、それ以上に・・・。

「玲於奈って、案外気が強いんだね」
「知らなかった?」

この時はまだ“点”に過ぎなかった。

(No.314-2へ続く)

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ホタル通信 No.096

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.162 ある場所の奇跡
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

たまに登場する“謎解き風”小説です・・・が、解けているようで解けていません。具体的な場所の記述がないからです。

前半の見ず知らずの人の携帯電話と後半の実際にその場所に行くという部分はどちらも創作です。
ただ、今回の舞台となっている“ある場所”は実在し、その場所を初めて見たのは高速道路からでした。この辺りの事実を鑑みて実話度40%にしています。

“ある場所”に対して、小説に書いた通りの印象を受けました。
SFっぽさ満載で、それこそファイナルファンタジーに出てきても全く違和感がないくらいです
実際に建物が存在しているはずなのにCGのように見え、綺麗というより、どことなく“錆付いた感”が、より一層SFっぽさを増しています。

これらはまさしく感動ものであり、その気持ちを小説にしてみたくなりました。小説の構想を練るまでもなく、ごく自然に“謎解き風”で書き進めました。
後半は多少強引に解決へ結びつけていますが、地元ならではの有名スポット・・・ということで片付けました。一応、伏線として前半に“映画・ゲーム・SF”というキーワードをあげて、後半ではそれを繋げることができる友人を登場させています。

さて、ここまで話して「ある場所がどこなのか?」言わないわけにはいきませんよね。場所は、堺泉北臨海工業地帯です。
ですが、私が見た風景は阪神高速4号線を北(大阪方面)へ向かって走っていた時です
助松JCTを超えると、まもなくして緩やかに左にカーブする場所があり、そこからこのような風景が見えます。
夜景ももちろん綺麗なのですが、明るい時に見る方が私は断然好きです。

尚、車の運転には十分ご注意ください
それと・・・記憶と地図を重ね合わせて書いていますので、もし違
っていたらすみません。
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[No.313-2]すっぱいぶどう

No.313-2

「それって“すっぱいぶどう”と似てない?」

すっぱいぶどう・・・イソップ寓話だ。
確か・・・。

「一言で言えば“負け惜しみ”の話だよね」
「そうね・・・そう言える」

心外ではあるものの、言われてうなづける部分も否定できない。

「別に勝ち負けには関係しないけど」
「誤魔化しているようにも聞こえる」

(誤魔化している?)

「そんなつもりはないけど・・・」
「ただ、どうせ押して帰るなら・・・と思ったの」

結局、家に着くまで1時間近く掛かった。
それだけの距離と時間・・・。
いわゆるモチベーションを維持するための、自分なりの方法だった。

「だったら“事故に遭ってたかも”は縁起でもないよ」
「・・・だね」

いつになく、同僚の言葉が心に響いた。

「茶化すつもりはないけど、いつになく“熱く”語ってない?」
「だって、本当に自転車の話だとは限らないでしょ?」
「彼氏を“自転車”に置き換えたとでも?」

一瞬だけ間を置いてたから、ふたりして大爆笑した。

「それは本当にない!ない!」
「だよね、あなたなら・・・」

そう・・・本当にそうなら“自転車は置いて帰った”はずだ。

(No.313完)

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[No.313-1]すっぱいぶどう

No.313-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
「やだぁ・・・」

思わず声が出てしまった。

「どうしよう・・・家まで相当距離あるし・・・」

けど、悩んでもいても始まらない。
とにかく、パンクしている自転車を押しながら帰路に着いた。

「それは大変だったね」
「まぁ・・・ね」
「あれ?そのわりには、涼しげな顔だけど?」

確かに昨日は大変だった。
自転車で数十分の距離も、歩くとなれば倍以上時間が掛かった。
それにいつもの相棒が逆に足手まといにもなっていた。

「わたしね、なんでも都合よく解釈するの」
「どういう意味?」
「自転車がパンクしたのなら・・・」

結果的に自転車に乗れない。
乗れないことにより、大袈裟だが運命が変わったはずだ。

「もし、パンクせずにそのまま乗って帰っていたら・・・」
「事故に遭ってた・・・とか?」

事故を回避するために自転車はパンクした。
・・・そう考えるようにしている。
だから、パンクというトラブルが発生したわけではない。
むしろ、逆にラッキーな出来事が発生したと言える。

「どう?前向きな考えだと思わない?」
「うーん、どうだろう・・・」

ふたつ返事で同意を得られると思っていた。

(No.313-2へ続く)

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[No.312-2]重なるイメージ

No.312-2

「とにかく気になるから」

本来の用事はそっちのけで、手掛かりを探した。
記憶にないなら周りから情報を集めればいい。

「やっぱり、店だよね?」
「そう思う・・・両隣もそうだし、この辺りはちょっとした商店街だし・・・」

小さなパン屋さん・・・そんなお店が似合いそうな空間だ。

「なかなか手掛かりはないわね」
「いっそのこと、お隣さんに聞いてみる?」
「いや・・・」

こうなれば、是が非でも自分たちで解決したい衝動に駆られた。
単に思い出せないことが悔しいのではない。
うまくは言えないけど・・・。
大切な何かが、そこにあるように感じるからだ。

「分かった・・・わたしもそんな気持ち」

もう一度、周辺を見渡す。
そして、改めて自分の記憶に残るイメ-ジと重ね合わせてみる。
ぽっかり空いた空間に重なるもの・・・重なるもの・・・。

「・・・あれ?」
「どうしたの?」
「重ならない・・・」

何となく想い出したイメージと空間が重ならない。

「だから、調べてるんじゃないの?」
「そうじゃなくて、もとから無かったんだよ、ここには・・・」
「だったら、なぜこんなに違和感があるの?」

友人の言葉はもっともだ。
現に、わたしもそう感じていたからだ。

「両隣が新しく出来たからよ」
No312_3
(No.312完)

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[No.312-1]重なるイメージ

No.312-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
見晴らしの良い空間に、違和感を覚えた。

「・・・だよね?」

友人もそう感じたのだろう・・・お互い顔を見合わせる。

「あったよね?」
「うん、あった、あった」

最寄り駅へと続く道を歩いていた。
久しぶりに友人に逢い、そして歩くこの道もまた久しぶりだった。

「何だったっけ?」
「それが問題・・・」

違和感の答えは明白だ。
本来、あるべき建物が無くなっている。
おそらく、知らない内に取り壊されてしまったのだろう。

「いやだぁ・・・全然、思い出せないよ」

確かにあまり通らない道ではある。
だから、仕方がないとも言えなくもない。

「私たち、なに見てたんだろうね」

単に記憶の問題・・・。
けど、なぜだか、それだけでは片付けられない重みを感じる。

「そうね、これが“人”だったとしたら・・・」

例えば、教室から誰かが消えたとしよう。
でも、机は残されている。

「それで・・・ここに誰が座っていたっけ?」
「きっとそうなる」

例え話が相応しいかどうかは別にしても、こんな感じだ。
私たちは案外、見ているようで見ていない。

(No.312-2へ続く)

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ホタル通信 No.095

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.97 涙は心の汗
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

ホタル通信を書く際には、一度読み返しているのですが、自分で作っておきながら「」の部分があるのはご愛嬌ということで。

この小説も時間的な補足が必要な構成です。
前半、中盤に差し掛かる前の、“頑張るきっかけがあった”から以降は過去の話になり、過去の話のまま終了します。
つまり、ドラマでいう回想シーンに入って、回想シーンのまま終ります。

いわゆる“名言”を用いたせいか、ちょっと狙い過ぎた部分が多くあり、特に後半は意味不明状態に突入しています。
このころは、ただただ勢いだけで書いているので、何ともお恥ずかしい出来栄えですが、逆に勢いがあるときこそ現実にそれが起こっており、伝えたい何かがある・・・とも言えます。

小説では、失恋の痛手・・・となっていますが、現実は失恋ではなく、それに似たような出来事が起こっています。
それを忘れるために、がむしゃらに・・・というところはほぼ事実ですが、後半になればなるほど創作になり、加えて意味が分かりにくい部分が散見されるようになります。
小説を発表した当時は、会話を区別するために文字に色を付けるという手法を採用していませんでしたので、自分のセリフなのか相手のセリフなのか分かりにくく、ご迷惑をお掛けしました。

完成度の低さの話ばかりでしたが、最後に内容について触れさせて頂きます
汗は心の涙・・・もちろん、涙は心の汗をもじった言葉です。でも当時は本当にそんな感じでした。ただがむしゃらに汗をかく・・・
体を動かすことによる、本当の汗であったり、実は涙の代わりであったり・・・。
皆さんの周りにもいらっしゃいませんか?がむしゃらに頑張っている人。もしかしたら、悲しみの裏返しなのかもしれません。
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[No.311-2]右手の指輪

No.311-2

「・・・気付かなかったことに対してだろ?」
「そうよ」

これは間違っていないらしい。

「でも、気付いていない」
「・・・遅いけど・・・今は気付いているよ?」
「そうじゃない」

気付く、気付かないで、キャッチボールが進まなくなった。

(気付いたのに気付いてない?)

状況がうまく飲み込めない。
なにか大きな勘違いでもしていると言うのだろうか。

「今は指輪の話だよな?」
「そうだよ」

念のために確認した。
気付かない対象が“気持ち”だとか、見えないものなら堪らない。

「だったら、今、気付いた。何度も言うけど」

それでも彼女の表情は変わらない。

「指輪であって指輪じゃないの」

彼女がこう切り返してきた。
指輪の話なのに指輪じゃない?・・・ますます理解できない。

「じゃ、これ見て」

彼女がこれ見よがしに右手を僕の目の前に突き出す。

「さっきまでと、変わったところない?」
「・・・あっ・・・!」

彼女の勢いがそうさせたのか、ようやく今までの辻褄が合った。

「指の位置・・・が変わったんだ」

指輪の存在に気付かなかったことが不機嫌の原因ではなかった。
僕のグレードが少し上がったことに対して・・・なんだ。No311
(No.311完)

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