[No.311-1]右手の指輪
No.311-1
登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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(・・・あれ?)
梨乃(りの)の右手に指輪が見えた。
(前・・から?)
記憶があいまいで、ハッキリしない。
前からのようでもあり、今日始めて見たような気もする。
「ゆび・・・わ・・・?」
「ん・・・なに?」
少し、ためらい感が残る聞き方になった。
いくら鈍感と言えども、指輪に意味があることぐらいは知っている。
もちろん、指輪の種類ということではない。
「指輪、前からしてたっけ?」
「・・・これ?」
聞けば、随分前からしていたらしい。
「出逢った時もしてたけど?」
疑問調の返事に、ややトゲを感じた。
髪型や化粧の変化・・・女性が気付いて欲しいポイントだ。
それに、服装やアクセサリーだって同じだろう。
どちらにしても、墓穴を掘ったようになった。
「ごめん・・・」
「これ、目立ちにくタイプだから気にしないで」
そうは言ってくれるものの、表情は険しい。
あからさまに怒ってはいないものの、不機嫌さがヒシヒシと伝わる。
(それにしても、マズイこと聞いちゃったな)
沈黙がしばらく続いた。
この沈黙が、どんな意味を持つかは分からない。
「ねぇ・・・私が不機嫌な理由わかる?」
彼女から先に口を開いた。
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