[No.310-1]名も無き彼女
No.310-1
登場人物=牽引役(男性)
=相手(女性)
-----------------------------
細かく言えば、姓だけではなく、名も覚えていない。
「それって、ひどくない?」
そんな捉え方もあるだろうが、随分と前の話だ。
覚えていなくても責められる筋合いはない。
「でも、最初の彼女でしょ?」
高校1年生の時、初めて女性と付き合った。
「そうだけど・・・」
「だったら普通、印象に残らない?」
印象に残っていないわけではない。
どうしても名前だけが思い出せないでいる。
「もともと、告白された側だったし」
自分が好きになったわけじゃないから、ある意味、受身だった。
受身と言っても、無関心な受身だったが・・・。
「好きなら、どうぞご勝手に!って感じだったな」
正直、当時を振り返ればそんな高飛車的な感じだった。
でも、最初からそうだったわけではない。
告白された時は、それはそれで嬉しかった。
「・・・じゃあ、なんで?」
「最初のデートで・・・」
最初のデートは1対1ではなく、3対3のデートとなった。
お互い、それぞれ友達を2人連れてくる・・・。
それは彼女の提案でもあった。
「照れ隠しもあっただろうし」
彼女だけでなく、自分もそれの方がありがたかった。
けど、これが状況を一変させた。
| 固定リンク | 0
「(013)小説No.301~325」カテゴリの記事
- [No.325-2]似てるけど似てない(2011.12.20)
- [No.325-1]似てるけど似てない(2011.12.18)
- [No.324-2]二度目の別れ(2011.12.17)
- [No.324-1]二度目の別れ(2011.12.16)
- [No.323-2]隣人(2011.12.13)
コメント