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[No.310-1]名も無き彼女

No.310-1

登場人物
=牽引役(男性)=相手(女性)
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細かく言えば、姓だけではなく、名も覚えていない。

「それって、ひどくない?」

そんな捉え方もあるだろうが、随分と前の話だ。
覚えていなくても責められる筋合いはない。

「でも、最初の彼女でしょ?」

高校1年生の時、初めて女性と付き合った。

「そうだけど・・・」
「だったら普通、印象に残らない?」

印象に残っていないわけではない。
どうしても名前だけが思い出せないでいる。

「もともと、告白された側だったし」

自分が好きになったわけじゃないから、ある意味、受身だった。
受身と言っても、無関心な受身だったが・・・。

「好きなら、どうぞご勝手に!って感じだったな」

正直、当時を振り返ればそんな高飛車的な感じだった。
でも、最初からそうだったわけではない。
告白された時は、それはそれで嬉しかった。

「・・・じゃあ、なんで?」
「最初のデートで・・・」

最初のデートは1対1ではなく、3対3のデートとなった。
お互い、それぞれ友達を2人連れてくる・・・。
それは彼女の提案でもあった。

「照れ隠しもあっただろうし」

彼女だけでなく、自分もそれの方がありがたかった。
けど、これが状況を一変させた。

(No.310-2へ続く)

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