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[No.309-2]乗り遅れた飛行機

No.309-2

「一言で言えば、不安の表れなんだって」

確かに、思い当たる節がある。
今も、具体的な不安もあれば、漠然とした不安も持っている。
とにかく性格的にも不安性だ。
あることないこと・・・不安がる傾向にある。

「見事なくらい、当ってるのよね」
「それなら、長く付き合うしかないんじゃない?」

都合よく考えれば、夢は一種の警告とも言える。
“今、不安を抱えてるよ”と・・・。

「警告か・・・いいこというね」
「長く付き合え・・・って、言ったからじゃない」

実際、これからも乗り遅れる夢は見るだろう。
その時には、自分に少しだけやさしくなればいい・・・。

「ただね、一度だけこんなパターンがあったの」

一度だけ、ギリギリで間に合ったことがあった。
いつもなら出発した後、乗り遅れたことに気付く。

「その時は、なんで気付いたの?」
「誰だかわからないけど、教えてくれたの・・・」

夢の世界のできごとだ。
そのほとんどが、うまく説明できない。

「“出発時刻が迫っていますよ”と」
「それに・・・ね」

空港に向かうまでに、手を差し延べてくれる人が大勢いた。
車で送ってくれたり、出発ゲートまで案内してくれたりした。

「・・・そう言えば、あなた・・・」
「えっ!わたしも居たの?・・・感謝しなさいよ!」

その一度だけ居なかったことを思い出した。

(No.309完)

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