[No.308-1]天ぷらうどん
No.308-1 [No.07-1]せいじゅうろう
登場人物=牽引役(男性)
=相手(女性)
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「うどんでいいの?」
「うん、ええよ」
今日、逢うにあたって、事前に菜緒(なお)から提案があった。
提案と言っても、単なる昼食のリクエストだったが・・・。
「うどん、好きだっけ?」
「いや、特別、好きやないけど」
その割には、あえて“うどん”を指名している。
でも、菜緒は大阪の人だ。
うどんが日常過ぎて、そんな特別視していないだけだろうか。
いつもの通り、なにか引っ掛かる気もするが・・・。
「じゃ、美味しいと評判の店へ行こうか?」
「やったぁー!」
特別好きでもないのに、この反応・・・。
ますます気になる・・・とは言え、深く考えるのはよそう。
「・・・で、なに食べるの?」
「うちな、天ぷらうどん、食べるねん!」
既に食べるものは決まっているらしい。
「天ぷらうどん?・・・丁度いいよ!」
その店は、天ぷらうどんで有名だ。
有名な理由は、味はもちろん、ある特徴があるからだ。
「えびの天ぷらが大きいんだよ!」
その瞬間、菜緒の目の奥がキラリと光った。
(なんだ・・・えびの天ぷらが好きだったんだ)
だから、うどん自体は“そこそこ好き”レベルなんだろう。
ただ、この時、俺は勘違いをしていた。
菜緒の目の奥が光った理由を・・・。
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