[No.306-2]背筋がピン!と
No.306-2
「・・・朝から告白?」
「ち、ち、ちがうよ!」
本日、2回目の否定は、“ち”が1つ増えて、否定度を増した。
「一歩、間違えばストーカー的な発言よ」
畳み掛けるように、言葉を並べる。
告白でも、ましてやストーカーでもない。
タイミング的にいつも彼女の背中を追うような格好になるだけだ。
「そんなぁ~」
多少、大袈裟に落胆して見せた。
「まぁ、一応誉めてもらってるから、許してあげるけどね」
ツンデレタイプには有効な手段だった。
「でも、どうしてそんなに姿勢がいいの?」
それこそバレリーナのようにピン!と背筋が伸びている。
「・・・失恋したから・・・かな」
失恋と姿勢の良さ・・・僕の中ではつながらない。
「どういうこと?」
「いつもとは違う目線で歩けたということよ」
はっきりとは答えを言っていない。
ただ、不思議と伝わってくるものがある。
逆にこれ以上聞くと、場を白けさせてしまいそうだ。
「それから、前を向いて歩くようにしたわ」
その言葉通りでもあり、別の意味も含んでいると分かる。
行動として歩く、そして気持ちの上でも前を向いて歩くのだと・・・。
(No.306完)
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