[No.305-2]不安のタネ
No.305-2
「そうよね・・・よく考えなくても、したことないね、私たち」
場の張り詰めた空気が、少し緩んだような気がする。
「ようやく、冴えない顔が少し・・・」
「なにさ、その“冴えない”って!」
場の空気と共に、私の口も緩んでしまった。
「まぁ、それはそれとして・・・不安があってもいいじゃない!」
「だからこそ、頑張れるんでしょ?」
プレッシャーは植物のタネと同じだと思う。
心という“土壌”でタネは育つ。
それに、不安を感じれば感じるほど、それは大きく成長していく。
「それって・・・励ましてる?それとも突き落としている?」
同僚が冗談半分、本気半分の顔でにらむ。
「まぁまぁ、最後まで聞いて」
プレッシャーは、言わば“不安”という肥料で成長する。
時には涙という水分も必要とするだろう。
そして、ついには・・・。
「なんか・・・怪談話みたいでオチを聞くのが怖い・・・」
同僚が、まさに固唾を呑んで、最後の言葉を待っている。
「そして、ついには・・・花を咲かす」
「・・・」
「“成果”という花を」
(No.305完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
| 固定リンク | 0
「(013)小説No.301~325」カテゴリの記事
- [No.325-2]似てるけど似てない(2011.12.20)
- [No.325-1]似てるけど似てない(2011.12.18)
- [No.324-2]二度目の別れ(2011.12.17)
- [No.324-1]二度目の別れ(2011.12.16)
- [No.323-2]隣人(2011.12.13)
コメント