« [No.304-2]言えない一言 | トップページ | [No.305-2]不安のタネ »

[No.305-1]不安のタネ

No.305-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
-----------------------------
「どうしたの、浮かない顔ね?」

本当は“冴えない顔”と言いたいところだ。

「来週のプレゼンのこと、知ってる?」
「もちろんよ!だって、社運が掛かっ・・・あ、ごめん・・・」

同僚の冴えない顔の原因はそれだった。

「そう言えば・・・あなたが担当だったわね」

聞くまでもなく、どうやら相当のプレッシャーを感じているらしい。
確かに誰だってそうなっても不思議ではない。

「準備は順調?」
「・・・」

(マズイこと聞いたかな・・・)

「順調・・・よ」
「・・・なら、いいじゃない?」

これで“順調じゃない”と言われると、更なる重圧を与えかねない。

「けど・・・不安は尽きないものよ」
「どんなに順調であっても」

同僚にしては、至極、まともなことを言っている。

「・・・」
「今度は、なにあなたが黙ってるのよ?」
「こんな真剣な話、したことあったかな・・・って、考えてた」

いつも会話の中心は、衣食住ならぬ“衣食男”だったからだ。

(No.305-2へ続く)

| |

« [No.304-2]言えない一言 | トップページ | [No.305-2]不安のタネ »

(013)小説No.301~325」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.305-1]不安のタネ:

« [No.304-2]言えない一言 | トップページ | [No.305-2]不安のタネ »