[No.305-1]不安のタネ
No.305-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(女性)
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「どうしたの、浮かない顔ね?」
本当は“冴えない顔”と言いたいところだ。
「来週のプレゼンのこと、知ってる?」
「もちろんよ!だって、社運が掛かっ・・・あ、ごめん・・・」
同僚の冴えない顔の原因はそれだった。
「そう言えば・・・あなたが担当だったわね」
聞くまでもなく、どうやら相当のプレッシャーを感じているらしい。
確かに誰だってそうなっても不思議ではない。
「準備は順調?」
「・・・」
(マズイこと聞いたかな・・・)
「順調・・・よ」
「・・・なら、いいじゃない?」
これで“順調じゃない”と言われると、更なる重圧を与えかねない。
「けど・・・不安は尽きないものよ」
「どんなに順調であっても」
同僚にしては、至極、まともなことを言っている。
「・・・」
「今度は、なにあなたが黙ってるのよ?」
「こんな真剣な話、したことあったかな・・・って、考えてた」
いつも会話の中心は、衣食住ならぬ“衣食男”だったからだ。
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