[No.303-2]絡まる
No.303-2
「どうしたの?考え込んじゃって」
「あ・・・ううん・・・人間関係に良く似てるなって」
特に恋愛関係がそう言える。
「へぇ~、なにか意味深な経験有り!って顔ね?」
自分の気持ちに気付いた時には、それこそ固結びになっている。
言わば“手遅れ”になっていることが多い。
「恋愛ってそんなものじゃないの?」
それに、解くには多少、時間も必要だ。
焦ってみても、そうそう簡単に解けやしない。
「ゴメン・・・随分、重い話になったわね」
「それなら、“固い”話って言ってよ」
いつもなら笑えないジョークで、今日だけは場の雰囲気が和んだ。
「まぁ、どちらも何でそうなるかは謎だよね」
確かに、コードも恋愛も、なぜそうなるかは謎だ。
けど、全く別物のふたつを並べて語るのも、何だか笑える。
「ところでさぁ・・・今は固結びはあるの?」
わざとらしく、遠回しに聞いてくる。
「どうだろう・・・今、絡んでる途中かな・・・」
お返しと言わんばかりに、遠回しに答えた。
「でも、あなたが言うと・・・」
「なによ?」
「酒癖の悪い話に聞こえちゃうから不思議よね」
「もぉ~!」
それから・・・しばらくして固結びがひとつ生まれた。
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