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[No.303-1]絡まる

No.303-1

登場人物
=牽引役(女性)=相手(女性)
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「ねぇ、ねぇ、聞いてくれる?」

実はこんな時こそ、一番聞きたくない。

「拒否したら、話さないでいてくれるの?」
「・・・ううん、それでも話すぅ!」

友人は身近な出来事をよく私に話しかけてくる。
恋愛のこともあれば、それこそ、朝食のメニューまで・・・。

「ところで、今日はなに?」
「コードって、不思議よね」
「・・・コード??」
「ほら、ドライヤーとかの“ひも”のことだよ」

つまり、コンセントにつなぐ、電源コードのことらしい。

「ヘッドホンもそうかもしれない」

何がそうなのか、もう少し話を聞く必要がありそうだ。
とにかく、“ひも”が関係しているらしい。

「その・・・不思議って?」
「その気がないのに、いつの間に絡んでない?」
「それに固結びだって、する気もないのに」

確かに・・・そうだ。
いつの間にか絡まって、それこそ固結びになっている時も多い。
悔しいが、恐らくカバンに入れてあるヘッドホンも・・・。

「ねっ!でしょ~!」

手に取って見れば、案の定、いくつか固結びの輪が出来ている。

(知らないうちに絡まる・・・か)

「ほんと、不思議よね~」

しきりに不思議がる友人をよそに、ある想いが交錯する。

(No.303-2へ続く)

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