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[No.294-2]白い時

No.294-2

「・・・真っ白・・・」
「ね!でしょ~!」

まるでこうなることが分かっていたかのような発言だ。

「頭の中が真っ白って、言うじゃない?」
「あまりイメージは良くないよね」

夕菜(ゆうな)がいうことにも一理ある。
邪念を入れず、頭の中をリセットする意味もあろう。
でも、大概、さっきの私のような状態をいう。

「まぁ、黒よりはいいんじゃない?」

“腹黒い”しかり、“黒幕”しかり・・・だ。
とかく文字としての黒は、それこそダークな存在だ。

「それより、白が不思議ってどういうこと?」

ことの発端は、夕菜の発言だ。
そもそも、なぜ、白が不思議な色かの答えを聞いていない。

「さっき、ちょっと答えが出てた」
「・・・ま、まさか・・・」
「・・・うん、そのまさか」

白は確かに不思議な色だ。
あんな夕菜でさえ、それなりに見えてしまう。
かつての発言は、そんな自分を想像してのことだったのだろう。

「おめでとう!」

純白の花嫁は笑顔で私の前を通り過ぎた。
No294
(No.294完)

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