[No.294-2]白い時
No.294-2
「・・・真っ白・・・」
「ね!でしょ~!」
まるでこうなることが分かっていたかのような発言だ。
「頭の中が真っ白って、言うじゃない?」
「あまりイメージは良くないよね」
夕菜(ゆうな)がいうことにも一理ある。
邪念を入れず、頭の中をリセットする意味もあろう。
でも、大概、さっきの私のような状態をいう。
「まぁ、黒よりはいいんじゃない?」
“腹黒い”しかり、“黒幕”しかり・・・だ。
とかく文字としての黒は、それこそダークな存在だ。
「それより、白が不思議ってどういうこと?」
ことの発端は、夕菜の発言だ。
そもそも、なぜ、白が不思議な色かの答えを聞いていない。
「さっき、ちょっと答えが出てた」
「・・・ま、まさか・・・」
「・・・うん、そのまさか」
白は確かに不思議な色だ。
あんな夕菜でさえ、それなりに見えてしまう。
かつての発言は、そんな自分を想像してのことだったのだろう。
「おめでとう!」
| 固定リンク | 0
「(012)小説No.276~300」カテゴリの記事
- [No.300-2]天空のホタル(2011.09.24)
- [No.300-1]天空のホタル(2011.09.22)
- [No.299-2]スクラッチ&ビルド(2011.09.20)
- [No.299-1]スクラッチ&ビルド(2011.09.18)
- [No.298-2]調整力(2011.09.16)
コメント