[No.292-2]決意の花火
No.292-2
あれから、1週間が経過した。
そろそろ結果は出ているはずだ。
それは良くも悪くも・・・だ。
(・・・どうしようか)
「メールして」と言いながら、こっちから連絡を取りたくなる。
けど、事を急いでしまえば全てが台無しになることだって・・・。
「このままモヤモヤしてても仕方ないし!」
思い切ってメールを送信した。
決意に反して思いのほか、有美(ゆみ)からの返信は早かった。
『まだ家に居る』
どこの家か聞くまでもないだろう。
“まだ”という言葉が添えられているからだ。
『ごめんね』
別に謝られることでもないし、謝って欲しいわけでもない。
ただ、謝りたい気持ちも理解できる。
『そっか・・・』
これで有美といつでも自由に逢える・・・そんな期待を持っていた。
「夢と消えた・・・か」
真夏の逃亡劇はこれで幕を閉じた。
まるで打ち上げ花火のごとく派手に咲いて、儚くも散った。
でも、ふたりで打ち上げた決意の花火は、とても綺麗だった。
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