[No.291-2]ブルー・スカイ・ブルー
No.291-2
「ん・・・どれだよ?」
彼がキョロキョロと空を見上げる。
「どれだよ・・・あれか?それとも、こっちか?」
いくつかの候補を指差す。
自分で言うのもおかしいが、確かにそう見えなくもない。
「ううん、違うよ」
どれかは答えなかった。
それにしても・・・雲がゆっくり流れている。
・・・違う、風に流されている。
「じゃ、どれだよ?」
「いいじゃない、どれでも」
もともと、どうでも言い話をしている。
だから、答えなんて必要ない。
「まっ、いいか」
「そうよ、空間を楽しまなきゃ!」
少しだけ高級な言葉で今の状況を表現した。
「静かだな」
「そうね」
子供たちのハシャグ声が逆に静寂を生む。
雲は今でも風に流されている。
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