[No.287-1]おしゃれな演出
No.287-1
登場人物=牽引役(女性)
=相手(男性)
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「そんなにジロジロ見るなよ・・・」
「あっ!ごめん、ごめん」
目の前のきらびやかなパフェに、つい見入ってしまった。
「そりゃ・・・ね・・・男じゃ珍しいと思うけど」
「ううん、そんなつもりで見てたんじゃなくて・・・」
「じゃあ、どんなつもりだよ?」
パフェ・・・というわけではないが、甘酸っぱい想い出がある。
「ポッキー?・・・お菓子の?」
「うん」
当時、何を見てマネをしたのか、ハッキリとは覚えていない。
恐らく、テレビドラマかCMの影響のような気がしている。
「ポッキーとパフェじゃ、随分違うだろ?」
「そうじゃなくて、グラスにね・・・・」
やや高さがあるグラスの中に冷えたジュースを注ぐ。
そのグラスの中に・・・。
「ポッキー入れるの?」
「そう」
それでポッキーが冷えて美味しくなる・・・とかではない。
何となくおしゃれな雰囲気が漂う、演出の小道具だ。
「・・・とは言え、一、二本は食べたんだ」
「それって、高校の時の?」
「うん・・・話したことあったよね?」
高校の時に付き合っていた彼の家へ初めて行った。
「あっ!何度も言うけど、何もなかったんだからねっ!」
「別に何かあっても気にしないさ、昔のことだろ?」
気にしないでくれるから、何でも素直に話せるのかもしれない。
「一、二本は口にしたんだけど・・・緊張がすごくて」
私だけでなく、もちろん彼も緊張していた。
それよりも、部屋の空気が一番緊張していたのかもしれない。
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