[No.286-2]レジャーシート
No.286-2
「手帳・・・なんだ」
それなら写し方に工夫して欲しいところだ。
せめて、手帳を開いているとかペンが一緒に写っているとか・・・。
「そやかてな」
菜緒(なお)いわく、“その物”を写すことに余り意味はないらしい。
“みんな”が写っていることが重要だという・・・。
「確かに、みんな勢ぞろいしてるけどな」
「それが大切やねん!」
考えてみれば、写メはいつも全員集合だ。
「今回はせいじゅうろうを、ふたつ盛ってありますな」
「盛ってある?・・・あぁ、これね!」
印刷とは違う、せいじゅうろうがふたつ手帳に貼り付けられている。
「随分、にぎやかになったね」
「そやろ!」
「うちは寝袋で、ダラダラ中ですな・・・」
それからしばらく菜緒のひとり遊びが続いた。
それが下敷きだろうが、レジャーシートだろうが関係ない。
遊びの対象は、常に彼らなんだ。
「間違いのついでに今度、レジャーシート持って出掛けない?」
「いいけど、勢ぞろいしてるやつでな」
「あぁ・・・みんなが勢ぞろいしてるやつ買っておくよ」
菜緒がいう“みんな”とは、菜緒と俺も含まれている。
だから、プラス2名で勢ぞろいだ。
レジャーシートの上でなら、それが可能だ。
(No.286完)
| 固定リンク | 0
「(S01)せいじゅうろう」カテゴリの記事
- [No.959-2]奇妙な踊り(2020.01.19)
- [No.959-1]奇妙な踊り(2020.01.18)
- [No.952-2]光になりたい(2019.12.10)
- [No.952-1]光になりたい(2019.12.08)
- [No.926-2]黄色のラケット(2019.08.08)
「(012)小説No.276~300」カテゴリの記事
- [No.300-2]天空のホタル(2011.09.24)
- [No.300-1]天空のホタル(2011.09.22)
- [No.299-2]スクラッチ&ビルド(2011.09.20)
- [No.299-1]スクラッチ&ビルド(2011.09.18)
- [No.298-2]調整力(2011.09.16)
コメント