[No.284-2]プラタナスの道で
No.284-2
「そうだけど・・・」
「ねぇ、“プラタナスの道”って分かる?」
さっきの歌詞にも出てくるそれのことだ。
「外国のどこかの道?」
(もう・・・これだから男性は)
歌詞の前後を考えれば多少、想像もできる。
素敵な歌も、これなら消化不良を起こす。
「木だよ、木!樹木の名前」
「・・・だから?」
本日、2回目の“だから?”顔だった。
それにしても、そろそろ気付いて欲しいところだ。
答えは、もう目の前に用意してあると言うのに・・・。
「もぉ!じれったいわね!」
(答えに気付いてもらう作戦だったのに!)
彼より少し前を歩き、振り向きざまに言った。
「こ・れ・が、プラタナスの道なの!」
言葉と同時に、つい両手を広げてしまった。
この空間を包み込むかのように・・・。
そう・・・私たちが歩いている道こそが“プラタナスの道”だ。
「だから、ここに連れて来たのか?」
「今で三度目よ・・・“だから?”顔は」
「・・・意味わかんないよ」
それでも、意識しているようだった。
チラチラと目線をプラタナスに向けている。
こうして、ちょっとしたゲームは幕を閉じた。
少し色づき始めたプラタナスの道を残して。
(No.284完)
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