[No.284-1]プラタナスの道で
No.284-1
登場人物
=牽引役(女性)=相手(男性)
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「なんだよ、さっきからニヤニヤしてるぞ」
「そぉ?べつにぃ・・・」
ほころんだ口元が、ついだらしない返事を返してしまう。
「何だよ、気になるじゃないか」
彼は気付いているのだろうか、今、この状況を。
「ねぇ、覚えてる?」
「えっ!?はっ!・・・んっお」
最後はよく分からない返事になっていた。
ひとつ言えることは、かなり焦っている。
「いや、その・・・なんだ・・・アレだよ・・・そう、あれ!」
「・・・違うよ」
答えを聞くまでもなかった。
「何かの記念日だと思ったんでしょ?」
「ち、ちがうの?」
仮に記念日だとしても、男性を試すようなマネはしない。
「何の日か覚えてる?・・・って聞いてないよ」
「それも、そうだな・・・」
さっきまでの慌てようがウソのようだった。
「・・・でも、覚えてない・・・ごめん」
「じゃぁ、ねぇ・・・」
~少し色づくプラタナスの道で
あなたの声が背中越しに聞こえてくる~♪
「その歌・・・」
「そっ!私が失恋してた時、聞かせてくれたでしょ?」
だから何なんだよ?・・・そんな彼の表情が微笑ましい。
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